第90話 震撼1


 クラウス王達はたび重なる協議の結果、使徒様がホラント国にいることを各国に知らせる事にした。ただし、娘がお手つきになった事は秘密にした。


各国の反応は様々であったが、特に大騒ぎになったのは、予想通り法皇国であった。




法皇国(ヘローフ)にある教皇の間に、沢山の人が集まっていた。


幹部「本当のことですか!使徒様が現れたというのは?」

幹部の一人が興奮しながら教皇へ詰め寄る。


教皇「ホラント国に降臨されたとのことだ‥。本物かどうか疑わしいが‥。」

一瞬嫌な顔を見せるが、誰にも気が付かれないように平静を装う。


幹部「巫女へ何の知らせもなく降臨されるはずがない!きっと偽物のはず!!」

別の幹部が興奮して立ち上がる。


教皇「偽物であれば、捕らえる必要があるがな‥。とりあえず、皆落ち着け。」

興奮する一同を落ち着かせる。


巫女「ホラント国が嘘を付くとは思えません。そんなことをすれば、世界を敵に回すような事になります。私は本物だと思います。」

本当は半分しか信じていないが、あわよくば会いに行ける可能性が高くなるので、ここは敢えて本物だと主張する巫女であった。


幹部「仮に本物だった場合はどうする?」


教皇「もちろん、この国に足を運んでもらい、民衆に会ってもらいたい。あわよくば

、この国にずっと住んでもらいたい。」


巫女「それでしたら私が使徒様の妻になれば宜しいのでは?」

巫女は恥ずかしがる素振りもみせず、淡々と答える。


幹部「たしかに、それだったら他の国も文句は言うまい。」

幹部の一人がニヤリと笑う。


教皇「わかった!巫女の覚悟を尊重する。直ちにホラント国に連絡を入れろ!巫女を早急にそちらに向かわせると!!」

全員が返事をする。


幹部「馬車では遅い。飛竜を使うしかないが巫女が耐えられるか‥。」


巫女「私に遠慮は無用です。たとえどんな試練があろうと使徒様に会いに行きます!!」

巫女の決意を聞いて、幹部達は感動する。




そのころ、イチローの方では‥。

イチローのお気に入りのカップが真っ二つに割れてしまう。


イチロー「カップって、こんな割れ方する?」


明日香「またどこが変なフラグでも立ってるんじゃないの?」

明日香がケラケラ笑いながら、イチローを揶揄う。


緋莉「不吉。」


雪花「こう言う時は、塩でも撒けばいいのですよ。」

そう言って雪花が塩をまく。


皆んなが大袈裟だと笑っていたが、何人かは気がついていた。イチローに向けて落ちていた塩が、何故かイチローを避けて床に落ちた事を‥。


「「「「嫌な予感がする。」」」」


きっとまた何か起こるであろうと数人が腹をくくる。

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