第82話 ストルム商会2


 緋莉「ご苦労。」

明日香「所詮は雑魚よ。すぐに尋問してバックにいる奴を吐かせないと。」

緋莉「私がやる。」

表情はいつもと変わらないが怒っているようだ。


明日香「イチローには知らせる?」

緋莉「内緒は良くない。朝起きたら知らせる‥。」

明日香「分かった、それは私がするわ。」

緋莉「助かる。」

緋莉が頭を下げる。

本当は明日香も嫌だが、誰かがやらないといけない事なので渋々承諾している。



翌朝、皆んなで朝食を取った後に、明日香から夜中の侵入の件を聞かされた。


イチロー「そんな事があったんだ‥。ウィットと明日香は怪我してない?」

2人とも傷一つもないらしい、一安心である。


緋莉「指示したのは、ストルム商会会長、セシリアとその部下、ワント。」

イチロー「ゾン、ストルム商会って知ってる?」

ゾン「たしかこの街のNo.3の商会で、去年会長が急死して、孫のセシリアが継いだと聞いている。代替わりしてからは法スレスレの商売をしているらしくて、評判はかなり悪い。」

イチロー「さすがゾン、ありがとう。」

褒められてゾンが照れる。

あー、またギャップ萌えだ。


イチロー「狙われる理由がわからないけど‥、お金目的かなぁ。」


緋莉「違う。急に出来た屋敷やパンのレシピなどを狙ったらしい。」


イチロー「パンのレシピって‥。あれは俺たちと領主様のところにしか口外してないけどね。まさか領主の屋敷にスパイが?」

コワ!やっぱり異世界怖いとこ。


緋莉「殺す?」

緋莉さんが物騒なことを言う。


イチロー「駄目だよ。女の子がそんな事言ったら。」


八重花「食べようか?」

蛇が舌舐めずりする。

それ冗談だよね?


プリムラ「屋敷以外吹き飛ばしましょうか?」

それだと、領主も死んじゃうから!

俺、国に指名手配されるから!!


イチロー「レイペル、お兄さんにすぐに会えないかな?」


レイペル「大丈夫だと思います。」


イチロー「わかった。今から俺と緋莉、レイペル、イリスで領主の屋敷に向かう。他のみんなは家の守りをお願い。ステア、今日は買い物とか控えてね。」


ステア「わかりました。」


イチロー「何が起こるかわからないので勝手な行動は控えてね。1人での行動も禁止。約束破ったら、当分夜の当番から外すから。」

皆んなが強く頷く。


それからコルベルトさんに面会し、今回の出来事を説明する。


コルベルト「まさか、この屋敷にまでスパイがいるとは‥。教えてくれてありがとう。それよりどう対応するかが問題だ。捕まえた奴らは証拠にならないからな‥。」


イチロー「証拠になりませんか?自白してますよ?」


コルベルト「きっと、知らない奴らだとか言って切り捨てるはず‥。」


イチロー「あまり気乗りはしませんが、今回は仕方がないですね‥。コルベルト様、少し宜しいですか?」

イチローがコルベルトに耳打ちする。


コルベルト「それではイチロー殿に負担が‥。」

コルベルトが難色を示すが、何とか説得する。


その翌日、イチローはニーナとゾンを連れて街の外にいた。


イチロー「さて、そろそろ動くころかな。」


ゾン「旦那がわざわざ出て来なくても良かったのでは?」

ニーナ「そうですよ。イチロー様に何かあったら‥。」

イチロー「早く終わらせてゆっくりしたいんだよね。なのでとっとと終わらせたい。」


そうこうしていると20人ぐらいの集団が現れる。かなりガラの悪そうな連中だ。

その中で1人普通の格好をした者が指示を飛ばす。

リーダー「男は捕まえろ。多少は怪我させてもいい、女は好きにしろ。」

すると他のメンバーがゾンやニーナを見て気持ちの悪い笑みをうかべる。


プチッ、何かがキレる音が聞こえたような気がする。

イチロー「ゾン、ニーナ下がれ。ここは俺が相手をする。」

ゾンとニーナは嫌がったが、頑としてイチローが譲らなかった。


リーン「私がやろうか?」

リース「手伝うよ。」


イチロー「お前達も手を出すなよ。」

イチローが腰に下げた刀を抜く。


今回の件でイチローが皆んなに厳命したのが、イチロー以外のメンバーは絶対に殺しをしないこと。破ったら家から追い出すとまで言ってある。


1人目の男が斬りかかってくる。

特に剣術たど習ってはいないが、何となく相手の動きがわかっていた。

軽く避けて、首を刎ねる。

2人目、3人目と次々に首を刎ねていく‥。

簡単に倒せると思っていたリーダーも慌ててだす。

リーダー「囲め!」

囲まれたイチローは慌てずに1人ずつ倒していく。何度も斬られたが擦り傷ぐらいにしかなっていない。


リーダー「どうなってるだ!簡単な仕事だと聞いてたのに!!」

リーダーが目線をイチローに戻すと、最後の仲間がイチローに首を刎ねられていた。


リーダー「化け物だ!!」

リーダーが逃げようとするがイチローに追いつかれる。


リーダー「助けてくれ!俺は頼まれたんだ!!」

リーダーの男が土下座をして助けを求める。


イチロー「もう面倒になった。『鑑定』」




【名前】ハンス

【年齢】34歳

【種族】人間

【性別】男性

【犯罪歴】殺人(378)、強盗(493)、強姦(241)


【スキル】忍び足、気配察知、恫喝

【その他】

人間のクズ、生かす必要はない。今回のことはロッフ商会に依頼されている。

ロッフ商会はこの街No.2ではあるがこのところ業績が落ちていることからストルム商会を乗っ取ろうと画策、現会長のセシリアの曽祖父、両親を暗殺。副会長は自分の側近のワントがなっている。ワントは帳簿を誤魔化したり、わざと失敗を重ね、ストルム商会を破産に追い込んだ。セシリアは借金返済の為、起死回生を狙いイチローを狙った。そのセシリアは今、ワントに拘束され、ロッフ商会に運ばれている。


*セシリアは散々犯された後、奴隷になり、最後は病気にかかり死亡する。


どうしますか?

助けますか?

見殺しにしますか?

下手に騒ぎを起こすと、目立つことになりますが、どうしますか?




いや、文章長いって!

鑑定のくせに、最後は問いかけてきたよ。

さて、どうしようかね‥。

こいつらは正当防衛になるけど、さすがに商会を叩き潰すと犯罪者になりそうだし‥。

イチローは覚悟を決め、召喚用タブレットを呼び出すのであった。


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