第66話 領主6


目を開けると真っ白な世界に立っていた。

左手の小指を見ると、やはり無くなっていて、傷は塞がっていた。

そろそろかなと思い始めると、四方から光る玉が近づいてくる。


イチロー「神様、こんにちは。またお会いできて光栄です。」

俺は頭を下げる。


神「いつもの神はワシじゃ。」

真後ろに浮いている光る球から声がかかる。


いや、みんな同じ形で微妙に光る色が違うだけだから判断出来ないよ。


神「愛がたらん!」

神「気合が足りん!」

神「洞察力がない!」


正論なんだけど、何かムカつくなぁ。


イチロー「それで私を呼び出した理由は何でしょうか?」


神「お前さんがまた死にかけたから、説教しようと思ったんじゃ。ぬらりひょん、泣いてるぞ。嫁さんに指を切らせるとは‥。」


イチロー「反論の余地もございません。」


神「スローライフしたくないの?」

神「奥さんのヒモになりたくないの?」

神「戦いは奥さんにまかせて、自分は子供を作るだけの男になりたくないの?」

神「ただ、いろいろな女性とエッチしたいだけじゃないの?」


何か後半から酷くない?

一応、俺なりな頑張ってはいるけど‥。


神「足引っ張るだけじゃん」


いつもより悪口が酷い。


神「キーワードから『スローライフを目指す』を外したら?目指してないよね?」


神「キーワード詐欺?」


たしかに、スローライフはもう無理そうかな。


1.困っている人を助けたい

→11文字なのでバツ


2.手当たり次第助ける

→こんなの読みたい?バツ


3.いろんな女を嫁にする

→何か悪そうな奴だよね?バツ


4.女を助けて嫁にする

→3よりは良いかな。保留


5.女を助けて嫁にもする

→女って呼び方でいいの?バツ


6.女性助けて嫁にもする

→にもって表現おかしくない?バツ


7.不幸な女性を嫁にする

→あくどく聞こえるかな。バツ


8.女性を笑顔にする

→悪くはないけど‥。保留


神「まぁ、今のままで良くない?」


あっ、面倒になってきたな。


神「とにかくあまり嫁さん達を悲しませるな。」


イチロー「今回は時間がないとか、俺にしか出来ないとか、言われたから仕方がなかったと思いますが‥。今後は嫁達に相談するって言ったのに。

それなのに俺ばっかり責めるって酷くないですか?」


神「判断したのはお主じゃろ?」


イチロー「たしかに‥。」


神「お主の人生じゃ、好きなように生きるとよい。まぁ、わし達も心配なんじゃよ。

お主には幸せになって欲しいからな。」


イチロー「ありがとうございます。」


神「このままだと不安なのでポイントを追加しておくから良く考えて使うとよい。」


イチロー「それは助かります。」


イチローが頭を下げると神様達は消えてしまう。


さて、そろそろ目が覚める頃だろう。

起きたら嫁さん達に怒られることを覚悟するのであった。



神「伝えなくて良かったの?」

神「そのうち気がつくじゃろ?」

神「まさか人間辞めてるとは思わないよね。」

神「本当、イチローに甘いよね。」

神「まぁ、このままのペースだと子供の顔を見る前に死ぬからの‥。」

神「確かに。」

神「どうしたもんかの‥」

神々がため息をついていた。

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