第65話 領主5


アレからシャールが服を着て、コルベルト達が部屋に入ってきて、事情を説明することになった。

みんなが椅子やソファー座る中、俺だけ絨毯の上で正座である‥。


シャールも全裸を見られたことを隠せばいいのに、逆にコルベルトに自慢げに話している。コルベルトさんと嫁達の顔がみるみる強張っていく。


明日香「何か弁明はある?」


イチロー「違うんだ。いたいけな美少女が吐血したんだよ。可哀想に思って鑑定を使おうと思ったんだよ。」


すると明日香が俺の胸ぐらを掴んで叫ぶ。

明日香「どこの馬鹿が鑑定使うのに、全裸にするの?アレ魔法だから!このセクハラオヤジが!!」


イチロー「いや、俺は脱げとか言ってないよね、シャール?」


シャール「えっ?体の隅々を見せてくれって、あんなところまで覗かれてしまいました‥。」

シャールがニヤリと笑い、とんでもないことをのたまう。


部屋中に殺気が充満する。

やばいと思った瞬間、俺の隣に緋莉が現れる。


緋莉「嘘はダメ。」

ナイス!フォロー!!さすが俺の嫁。

緋莉「イチは反省。」

膝の上に拷問用の石が現れる。

前に見た時より薄いが、それでもかなり痛い。


コルベルト「姫様、嘘はいけませんよ!イチロー様の名誉にも関わってきますので。」

コルベルトが声を荒立てる。


シャール「すみません。脱げと言ったのは嘘です。でも、全身を見られたのは本当です。しかも一瞬ではなく、ずっと見られました。これは神に誓って本当です。」

そんなこと神に誓わなくていいから。

部屋に沈黙がおとずれる。


俺のターンだ、こうなったら奥の手だ!

イチロー「止める間もなく、シャール様が脱いだのです。その後は隠す様子もなく、堂々としていました。神に誓います。」

決まった!

嘘もついていないから言い逃れも出来ないだろう。


ニーナ「目を瞑ればよかったのでは?」

ゾン「手で隠すとか。」

明日香「下を向くとか。」


味方の背後からの攻撃だ。

正論過ぎて、反論出来ない‥。


まだ、終わらんよ。

イチロー「まだ、成人していないのであればノーカウントでは?」


すると、コルベルト、レイペル、シャールから蔑んだ目で見られた。


シャール「幼い容姿で申し訳ございません。これでも成人しておりますので、ノーカウントにはなりません。もう言い逃れは出来ませんよ。」

最後の方は目がきっとなる。


詰んだ、投了です。


この空気を打破するにはコレしか残ってないようだ、『鑑定』!

誤魔化す為、大声で叫ぶ。



【名前】シャール

【年齢】14歳

【種族】人間

【性別】女性

【状態】猛毒

【経験人数】0

【スリーサイズ】67・48・63


【スキル】計算、統治、カリスマ

【魔法】火魔法

【その他】

この国の第二王女、上には兄(第一王子)と姉(第一王女)がいる。下はいっぱいなので説明を省く。性格はおとなしいが正義感が強く計略などが苦手なので、こういう人が女王になると国が荒れる事がある。国の運営は綺麗事だけでは、なりたたない。イチローが王になりたければ計略が得意なジルヴァに任せるといい。

話が逸れたが、なぜ猛毒状態かというと医者に飲まされている薬に毒が入っているからだ。医者は無実で、薬を入れ替えたのはシャールが1番信頼のおけるメイドのアユルに成り済ましてる殺し屋。ちなみにアユルは既に殺されている。殺し屋を雇ったのは第三王子の母親。自分の子供を王にする為、邪魔者を殺しにかかっている。第一王女のメイドも1人殺され、殺し屋が入れ替わっている。早くしないと毒殺されるぞ。

シャールの猛毒状態を治すには、璃水の薬とイチローの魔力、触媒の体の一部が必要。

毒以外に強い呪いがかかってる為、今回は緋莉や明日香の力でも足りない。

体の一部は、小指の残りを使う。

他の神と交渉したが、命よりはマシだろうとの結論に至った。すまないと思うが我慢して欲しい。

あっ、10分以内に治療しないと呪いが最終段階に入るので、間に合わなくなります。



その他が長い!

内容が重い!

これ初級鑑定だよね?どこが?

途中、ジルヴァがいいみたいなアドバイスあったよね?

もう鑑定の域を超えてるよ。



とにかく時間がないので急ぐ。

緋莉に耳打ちして、メイドのアユルを捕まえさせる。もちろん絶対に自害させないようにする。


イチロー「時間がないので、誰も俺のする事に文句を言うな。シャールを助けたいなら俺を信じろ!」

皆んなが頷いてくれる。


イチロー「シャール、ここに横になって!」

シャールが慌てて、ソファーに横になる。


収納から璃水の薬が入った壺を出し、分量が分からないので、適当にぶっかける。


イチロー「明日香、後で文句は受け付ける!俺の小指を切れ!!」

明日香が何かを言いかけたが呑み込んでくれた。さすが俺の嫁さん。


俺は左手の小指を立てる。

ちなみに第一関節の先はドラゴンに食べられてない。


さすがに自分の指が切られる瞬間は見たくないので目を瞑ろうとした矢先、小指が音もなく落下する。

切るのはや!!

左手にものすごい痛みがはしる。

あまりの痛みに意識を失いかける。

するとニーナが璃水の薬をかけてくれた。

助かった、さすが俺の嫁さん。


とりあえず魔力をこめる。

急激に何かが吸い込まれる感覚が襲う。

鼻血が出る。

また心臓が痛む。

痛みで倒れそうになった瞬間、シャールの全身が光出す。これで大丈夫だろうと確信したところで俺は意識を失った。

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