第64話 領主4


コルベルトとレイペルがイチローを置いて部屋から出て行った後の話。


こんなに大きな部屋に1人って‥。

イチローは暇を持て余していた。

メイドさんがいればお茶を出してもらえたのに‥。

するとイチローが入って来た扉とは別の扉が開く。

出て来たのは10歳ぐらいの女の子だ。

イチローを見つけると近づいてくる。


女の子「こんにちは。私はシャール、貴方のお名前は?」

おっ、しっかり挨拶が出来る子だ。

思わず頭を撫でる。

それにしても何かオーラがあるよね。

銀髪にドレスを着ているってことは絶対に偉い人の子だ‥。

領主の屋敷にいるって事態、普通の子じゃないからね。


イチロー「私の名前はイチローと申しますよ、お嬢様。」

俺はお辞儀をする。

するとシャールが嬉しそうに微笑む。


シャール「イチロー様は何をしに、こちらに?」


イチロー「レイペル様と友達になったので、遊びに来ました。」

思いっきり嘘をつきました。


その後も、他愛のない会話を続けるが、当然シャールが咳き込む。

かなりキツそうなので、背中をさすってあげる。

えっ、血を吐いてる‥。


シャール「ごめんなさい、服を汚してしまって‥。」

イチロー「服なんてどうでもいいです。それより大丈夫ですか?」

シャール「病気なの‥。療養をかねてここに来たけど、どんどん酷くなって‥。私たぶん死ぬわ。何となくわかるの‥。」

彼女を見ていると何かモヤモヤする。


イチロー「シャール様、少し調べさせてもらってもいいですか?」

シャール「別に構いませんが、イチロー様はお医者様なのですか?」

イチロー「医者ではないですが、調べることが出来ます。」

シャール「裸になれば良いのでしょうか?」

俺が止めようとする前に、シャールは照れながら立ち上がると、肩のボタンを外す。するとドレスがストンと落ちる。下着は着けていないようだ。パンツも‥。


銀髪の少女が全裸で、俺の目の前に立っている。恥ずかしいのか頬を赤くしている。

ハイ、アウト!

とりあえず服を着せないと。

床のドレスを拾おうとしゃがんだ時にドアが開き、レイペルが入ってくる。


あっ、終わったな。

俺は死を覚悟した。


するとレイペルが機転を利かせて後続のコルベルトが部屋に入る前に扉を閉め鍵をかけた。

コルベルトが何かを言っていたが無視したようだ。


とりあえず、土下座をするが、レイペルからものすごい殺気がする。


レイペル「イチロー様は、何をしていらっしゃいますか?私の裸では満足出来ず、シャール王女殿下の全裸を見るとは‥。本当に死罪になりたいのですか?」


イチロー「えっ?王女殿下?」


シャール「レイペル?あなた裸を見られたの?」


レイペル「‥はい。その責任をとってもらう為、イチロー様に嫁ぐ事が決まりました。」

レイペルが頬を赤らめる。


シャール「それでしたら、私も見られていますので、イチロー様に嫁ぐ事になりませんか?」


レイペル「シャール様は、王位をもっておられますので、私とは事情が違います。」


シャール「では、王族を離脱します。」


レイペル「馬鹿げています!そんな簡単に離脱するなどと言うなんて!」

レイペルが声を上げる。


シャール「あなたは離脱しているのに?」


レイペル「私と兄は平民の母の子です。王位継承権も40番目と低いので問題はないのです。でも、シャール様は2番目ですよ?大問題になります!」


シャール「私は病気で療養中で、しかも治りそうにありません。王都では呪いにかかっていると噂が流れていて、剥奪される可能性があります。」


レイペル「剥奪だなんて‥。酷い‥。」


シャール「王位には興味ありませんが、剥奪されるぐらいなら、こちらから離脱しようかと思ってます。」

シャールが腰に手を当てて、カッコいいことを言ってます。

全裸で‥。


コルベルトさんが扉をドンドン叩いてます。


イチロー「とりあえず、服着ませんか?」


シャール「何故かしら、貴方に見られても恥ずかしく無くなったのよ。」

シャールが変な方向に目覚めそうです。


とにかく服を着て、話し合いをする事になりました。

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