第51話 奴隷商7


ジルヴァ「そろそろいいですか?」

こいつ、優雅にお茶飲んでたよ!


さすがはご令嬢、『さすごれ』だね。

いや、そんな言葉ないから。

勝手に作ると怒られるよ!


ジルヴァ「とりあえず、そちらのおばさまはどうされますか?」

ん?雪花いないのに、この部屋が寒くなったような‥。


イチロー「おばさまって、俺と一歳違いだぞ。」

とにかくフォロー入れないと。


ジルヴァ「男性は渋みが増すからいいのです。しかもそのおばさん、私の2倍ですわ。2倍‥」


ずっと黙っていたアルツが口を開く。

アルツ「黙って聞いていたら、乳臭いガキがうるさいこと‥。」

目が据わっている。

怖よー、ここから逃げ出したい。

ここは2人だけにして、いつもの屋敷に連れて行って!


緋莉「だめ。見る。」

緋莉に何かしらの考えがあるようだ。

黙って見守ることにした。


ジルヴァ「ち、乳臭いって‥、私はちゃんと成人してますわ!!」


ちなみにこの世界は14歳で成人を迎える。

なのでニーナと結婚しても犯罪じゃないよ!合法だよ!!


アルツ「はん、処女のくせに笑わせるな!」

馬鹿にしたように鼻で笑う。


ジルヴァ「わ、私に相応しい男性が現れないだけですわ!」

誰が見ても分かる感じで、無理して笑ってます。


アルツ「ここにいるってことは今は貴族じゃないんでしょ?気持ちの悪いおっさんにでも買われて、娼婦にでもなるじゃない?若くて綺麗しか特技ないんだから。」

お腹を押さえながら、大笑いしている。


お父さん、お母さん。

ここは地獄です、何とかして下さい。


明日香「地獄じゃないから!」


ジルヴァ「あなたはどうしますの?ずっと黙ったまんまで、イチロー様に治療して頂いた恩義は感じないの?」


アルツ「恩義は感じてます‥。大変優しい方だと思います。ただ、怖いんです。王宮ではみんなが敵のような感じだったので‥。夫は親が決めた相手だっから好きでもなかったし‥。初夜以外はしてないし‥。しかも入れて終わりだったので‥。」


何か途中から変な話になってるし‥。


ジルヴァ「私も、周りは敵ばかりでした‥。近寄ってくるのは私と結婚して、地位が欲しいやからばかり。私を見てくれる人は1人もいなかった‥。」


あっ、ダメだ!

この話の流れは絶対にダメなやつ!!


ジルヴァ「みなさんはイチロー様の為に、死ねますか?」


アルツとジルヴァ以外が頷く。


ジルヴァ「ここまで慕われるとは‥。私も信じてみようかしら‥。」

アルツ「凄い。みんな即答した‥。だったら私も‥。」


ジルヴァ「とりあえず、そこのあなた。私達にイチロー様のことを教えて下さいませんか?」

ジルヴァが、ステアに声をかける。


ステアが応えようとすると緋莉が制する。

緋莉「面倒、みんな呼ぶ。」

そう言うと、俺を残して全員が消えた。

きっと地獄の屋敷で女子会でも開いているんでしょう。


俺はフライスさんとお茶を飲みながら、時間を過ごすことにした。

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