第50話 奴隷商6
予想通り、手こずった3人が終わったので俺は安心しきっていた。
1番常識人っぽい、アルツさんの番だ。
さっきの3人はいろいろな儀式はしたが、結婚したわけではない。天使については責任問題とかあるが、特に結婚に言及されてはいない。本人が望まないのであれば無理強いはしないでおこう。そうなるとアルツさんも奴隷契約出来れば、結婚する必要はない。そもそも未亡人なので、亡くなった旦那さんへの思いを邪魔する必要はないと思う。
ステア「ここでご主人様に代わり、この世界の奴隷制度について説明します。」
ステア「奴隷には4つの種類があります。
1つ目は『一般奴隷』です。これはもっとも多くの方がなられているものです。衣食住が保証され、条件がそろえば解放もされます。また性的な要求は断ることが出来ます。」
ステア「2つ目は『犯罪奴隷』です。これは字の通り、犯罪を犯した人がなる奴隷です。こちらは死ななければ何をされても文句は言えません、なので性的な要求を断ることは出来ません。解放については最低限の刑期が過ぎれば、買った人が好きな時に解放出来ます。ちなみに刑期は国が決めます。」
ステア「一般奴隷は貴族や商家などに人気で、メイドにして働かせるのが多いです。犯罪奴隷の男性は、採掘や建設などの労働力として人気があります。女性は娼婦にさせることが多いです。」
ステア「3つ目は『生涯奴隷』です。これも字の通り、生涯解放されない奴隷です。戦争などで負けた国の王族や、不祥事を起こした貴族の一族がなる奴隷です。内容は一般奴隷と一緒なので、一生解放されないことを除けば、わりと好条件の奴隷です。
一応、解放は出来ませんが譲渡は可能で、譲渡に関しては、本人の許可が必要です。」
ステア「4つ目は『特殊奴隷』です。これについては、数も少なく私も詳しくはないのですが、特殊な条件をクリアすればその人の奴隷になるみたいです。奴隷が相手を決められる唯一の奴隷です。条件は個人で違うのでよくわかっていません。」
イチロー「説明ありがとう。よくわかったよ。」
ステアの頭を撫でてあげる。
ステア「いえ、最近出番が少ないので‥」
ごめんよ、俺も主人公なのに緋莉と明日香に押されているからね‥。
話が逸れたが、アルツさんの治療にかかる。
まず、璃水の薬を塗って、緋莉とキス‥。
あっ、明日香がキスしてきた。
明日香「一回だけ代わってもらったわ。私だって、イチローとキスしたい!」
俺に断ることは出来ないので、黙って従う。
魔力を流すとアルツさんが光出す。
アルツ「‥‥」
言葉は発しないが、手足の動きを確認している。
イチロー「急に目が見えるようになって、眩しくない?何か問題があれば言ってね。
あと、さっき話していたイチローです。宜しく。」
俺は怖がらせないように、ニッコリ話しかける。
アルツさんは考え事をしているようだ。
こう言う時は、そっとして置いてあげよう。
はぁー、グイグイくる子が多かったのでこう言う反応は新鮮だよね。
明日香「悪かったわね!」
いや、勝手に人の心を読まない!
ぬらりひょんって『さとり』の能力持ってるの?
明日香「持つわけないでしょ、バカ。」
だから会話が成立してるって!
さて、アルツは保留ということで、ラスボスとの対決としましょう。
先程は暴れていたが、緋莉に地獄の恐怖を味あわされて、失禁後大人しくなっている。とりあえず悪役令嬢の前に立つ。
会話成立するかなぁ‥。
この子は治療がいらない。
可哀想だから『クリーン』で、綺麗にしてあげる。
猿ぐつわと体を縛っている縄を外してあげる。
相当暴れたんだろう、髪がぐしゃぐしゃで顔が良く見えない。
ジルヴァ「け、化粧室」
ん?トイレでも我慢してるのかな?
とりあえずステアに案内させる。
それから10分後、金髪の縦ロールの美人が口元を豪華な扇子で隠しながら現れた!
イチロー「あの、どなたでしょうか?」
ジルヴァ「先程、貴方に助けて頂いた令嬢のジルヴァですわ。」
令嬢って自分で言うんだ。
イチロー「ジルヴァ様に置かれては、治療もしていませんので、助けたなど、おこがましいです。貴女のような綺麗な人はフライスさんが、相応しい人を見つけてくれると思います。」
ジルヴァ「ジルヴァって呼んで下さい。」
イチロー「私は平民ですので、平にお許し下さい、お代官様。」
ジルヴァ「誰がお代官様よ!そもそも誰よそれ!!」
おっ、令嬢のツッコミだ。
ジルヴァ「私も今は平民だから気にしなくていいわ。これから宜しくね。」
イチロー「ごめんなさい。」
オデコを擦り付けて土下座する。
ジルヴァ「ちょっと断るってどういうこと?」
イチロー「ここには奴隷を買いに来ています。令嬢は必要ないです。」
ジルヴァ「そこの3人は奴隷じゃないでしょ?」
イチロー「それは‥」
セラ、メア、ウィット「生涯奴隷です。」
イチロー「ちょっと勝手に決めるなよ。生涯だよ?それでいいの?」
セラ「私は生涯の忠誠を!」
メア「私は生涯、眷属です!」
ウィット「私は生涯、貴方のものです!」
ウィットは何か違うような気がするけど‥。
緋莉「イチ、秘密もあるし仕方がない。」
ここで正論を言われると反論出来ない。
イチロー「わかった、3人は『生涯奴隷』で!」
そう言った瞬間、俺と3人の手の甲に奴隷の紋章が現れる。
緋莉「契約成立。」
イチロー「こういうのって血で契約じゃないの?」
異世界テンプレじゃん。
明日香「3人ともあんたの物を体内に取り込んでるから大丈夫なの!」
何か血のが良かった。何か生々しいよ。
ジルヴァ「終わった?もう退屈よ。」
ジルヴァは椅子に座ってお茶を飲んでいた。
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