第44話 今後について5


翌朝になって、宿屋で1番大きな部屋に移動して、今後についてみんなで話し合うことにした。


「まずは、今回の騒動ついて全て俺の不徳の致すところによって発生しています。みなさん、いろいろ思うところがあるとは思うが、イリスは十分罰を受けている。今後は2度とこんなことを起こさせないので、許してやって欲しい。」


俺は深々と頭を下げる。


「イチロー様のせいではありません。私が信じる事が出来なかったからです。こんな私をイチロー様は命をかけて守ってくれました。信じる事を思い出させてくれました。2度とこんな真似は行いませんので、許してもらえないでしょうか?」


イリスが土下座している。

ハイエルフの土下座って‥、そんなの見たことある?絶対、他の物語りでさせないよね。


特にみんなから異論は出なかった。

どうも俺の知らないところで話はついているようだ。


「さて、今後の話の前に紹介する人物が2人います。1人はみんな会っていると思うが、妖怪『ぬらりひょん』といって、この世界で例えるなら将軍に近いのかな。強さなどについては、みんな身をもって味わっていると思う。」


「妖怪ではなく、大妖怪よ。間違わないで!私の名前は明日香、宜しくね。」


明日香が腰に手を当てて、ドヤ顔している。


「次に紹介するのが、妖怪『閻魔大王』様です。王という文字がついているから察してると思うけど、この世界でいえば王様みたいなものかな。うーん、それよりも神様に近い存在かも。」


明日香と本人以外はみな緊張しているようだ。

雪花や璃水が目を合わせようとしない‥。


「緋莉、宜しく。」


ピースサインまでしてます。顔が真顔だから違和感が半端ない。


「さて、今後についてだけど、まず第一婦人などの順位付けを廃止します。ただし何かしらの要件で妻を1人連れて行くなどの状況になったら雪花を連れて行く、これは決定事項です。

また順位を廃止する代わりに、みんなを平等に愛することを誓います。」


みんなが頷いてくれた。


「呼び方については、呼び捨てで統一します。敬語もやめます。緋莉もいいな?」


「いい」

何となく嬉しそうな表情だ。


「悩みについても、みんなに相談しますし、みんなも俺に相談してくれ。」


全員の返事が聞こえた。


「早速で悪いけど、相談があります。土地の整地が出来ていません。本当は妖怪『泥田坊』にさせるつもりでしたが、ポイントがマイナス9,700になったので当面は無理になりました。ちなみにお二人は可能ですか?」


「無理。私、肉体労働は苦手だわ。」

明日香が手を交差させてバッテンを作る。


「針山か血の池になら出来る。」

緋莉が真顔で冗談を言う。


冗談だよね?

まぁ、どっちにしても却下だけど‥。


するとイリスが遠慮しながら手をあげる。


「あの‥、私は土魔法が得意なので整地など可能です。」


おっ、さすがハイエルフ。


「もしかして、芝や木を生やしたり出来ない?あと家の土台には岩ぐらいの硬いのがいいんだけど、出来るかな?」


「多分、大丈夫だと思います‥」


よし、これで環境が整う。あとは家に集中出来る。


「みんなは家に希望ある?

俺は広いお風呂かな。みんなで一緒に入るのが夢かなぁ。」


イリス「旦那様と一緒に寝たいです。」


イチロー「他にも希望が出そうだから、なるべく大きめのベッドにしよう。あと、基本的にみんなに個室を割り当てるよ。あと子供とかも増えそうだから小さくてもいいから、1人部屋を増やそう。」


ステア「メイド達の部屋も必要です。」


イチロー「食事も基本的にみんな一緒にとるので広めのダイニングが必要かな。あとはパーティールーム、ゲストルームも。

3階をプライベートルーム、2階をゲストルームやメイドの部屋、1階にキッチン、ダイニング、パーティールーム、お風呂かな。水回りは1階にあったがいいかな。」


それにしてもメイドの事、完全に忘れてたよ。明日にでも行ってみるかな。


イチロー「明日、奴隷商に行ってみよう。一緒に行くのはステア・明日香にする。」


イリス「私も一緒に行きたいです。」


イチロー「イリスはハイエルフなのがバレると問題が起きそうなのでパス。あと家の配置について考えるのを任せたいので残ってもらいたい。」


最初は不満そうな顔だったが、理由を聞いたら満更でもなさそうな顔をしてた。


イチロー「ゾンは仕事、雪花は身重なのでパス。そもそも奴隷商とか環境が悪過ぎるから誰も行かせたくない。ニーナは獣人とか多そうなので嫌な思いをさせたくない。璃水は申し訳ないが雪花についていてもらいたい。2人とも妖怪だから気心も知れているだろうし。何か埋め合わせはするから頼む。」


璃水「わかったっす。一晩2人っきりを希望するっす。」


イチロー「わかった。明日香調整を頼む」


夜の当番は明日香が管理している。


本当は、1人で行きたいけど護衛とアドバイザーがいるので2人を選んだ。


緋莉「私は?」


ですよねー。忘れてたわけではないです。

あえて無視してました‥。


イチロー「お任せしますが‥」


緋莉「イチと一緒。」


明日香の目を見るが、逸らされてしまった。助けてくれそうにないので従うことにする。


イチロー「では、緋莉は俺と一緒ってことで。」


緋莉「うん」


言葉は少ないが何となく感情が判るようになってきた、今は少し嬉しそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る