異世界2
第43話 胸の中
知らない天井‥ではなく目が開けられない。今度こそ死んだのだろうか‥。
直前に神様から「今回は助けられん。自力で頑張ってくれ!」と聞かされていた。
それにしても何か、とてつもなく柔らかいものが顔の上にのっている。
頭にはプニプニの感触がする‥。
とにかく体を横に動かし、天国の感触から脱出する。
やっと目が開けられるようになったので開くと、そこには道服を着た、黒髪の美少女がベッドの上に座っていた。
この格好はもしかしなくてもアレだよね‥。
思わず召喚用タブレットを呼び出す、残ポイントはマイナス9,700。10,000ポイントの妖怪といえばあのお方ですね。
「大変申し訳ございません。閻魔大王様に膝枕して頂くとは‥。命ばかりは許して下さい。」
イチローは床で土下座を行う。
「気にしなくていい。とりあえず名前頂戴。」
真っ赤な目でお願いしてくる。
閻魔大王様の名前?
すぐに思いつかないなぁ。
目が赤いので『緋』は使いたいかな。
後は‥『緋莉(あかり)』何てのはどうだろうか‥。あまり明るそうな名前は嫌かなぁ。
「それでいい、気に入った。」
「気に入ってもらって良かったです。ちなみに私は刺されたはずですが何で治ってるんですかね?それとみんなは何処でしょうか?あとここは何処でしょうか?」
「イチは質問多い。とりあえず、私を抱いて。」
表情が読めない。冗談では無さそうだけど‥。
「本気。」
何かしらの覚悟を感じる。
多分抱かないと話は進まない気がする‥。
「わかりました。」
俺も覚悟を決める。
「は、はじめてだから!」
ほんの少し、わかりにくいが、微妙に頬が赤くなった。
うわぁ、大王様可愛い!
「緋莉って呼んで。」
やば、マジ可愛い。
で、致しました。
鼻血が出そうになる程、興奮しました。やばかったです。
「あと宜しく。」
緋莉様はそう言って眠ると、部屋の隅に正座した2人が現れる。
2人とも何枚もの石を足の上に置いている。あれって拷問だよね。
拷問されているのは明日香とイリスだった。
俺は慌てて石をどける。
すると2人が意識を取り戻した。
「イチロー、無事で良かった‥」明日香が飛びついてくる。
「ごめんな、心配かけて」
俺は明日香の頭を撫でる。
「爪が甘かったわ、全部私のミス。本当にごめんなさい。」
明日香が涙を流す。
「明日香は良くやってくれた。悪いのは俺だ。」
明日香を抱きしめながら言う。
「イリスは大丈夫だったか?」
イリスに声をかける。
すると「どうして私を助けたの?全部知ってるんでしょ?どうして?」
イリスは泣きながら叫ぶ。
「好きな女を助けるのに理由がいるのか?」
「私は雪花やゾンに暗示をか‥」
何かを言いかけたが、強く抱きしめ言葉を遮る。
「良かった無事で‥。」
俺も涙が溢れてくる。
「ごめんなさい。」
イリスが謝ってくる。
これで、何とか仲直り出来たかなぁ、イリスを抱きしめながら思うのであった。
「ちょっと勝手に終わらせないで。無事じゃないわよ!石見たでしょ?私たち、大王様にお仕置きされてたの!!イリスは分かるけど、何で私まで‥。しかも拷問されてる横で大王様とはじめるなんて‥。もう地獄だったわ。」
明日香が涙ぐむ。
「それに、私だけまだなのに‥」
「とりあえず何があったか教えてくれない?その後でよければ、相手するから。」
「ほんと?私見た目は幼女よ?大王様に比べてぺったんこだし‥。」
明日香が下を向く。
「お前がいいんだよ。」
俺は顎クイをして強引に唇を奪う。
その後、興奮した明日香に押し倒されそうになったが部屋を変わる必要があったので、何とか説得し別の部屋に移動した。
イリスはみんなのところに連れていった。
とりあえず、他のみんなは明日香が眠らせているようだ。
「それで何があったの?」
明日香に問いかける。
「貴方が倒れた後、すぐにカッパを呼んで傷を治させたわ。でも、すでに死にかけてて、どうする事も出来なかったの。そうしたら召喚用タブレットが勝手に現れて、召喚が始まったの‥。もう本当にビックリしたわ。しかも現れたのが閻魔大王様なのよ、死ぬかと思ったわ。」
やはりそれほどの大物なのか‥。
「その後は、閻魔大王様が貴方を助けて、みんなで宿屋まできたわけ。」
「大王様なんて、一生呼び出せないと思ってた。これからどうなるんだろう‥」
俺が不安そうな顔をする。
「大丈夫。私がいるから安心して。」
やっぱり男前だなぁ、この子。
「わかった、これからも宜しくね。」
「そ、その‥。初めてだから優しくして‥」
だからそのセリフはズルいよ。
それがきっかけで俺は明日香に襲いかかった。
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