第35話 スライム
目が覚めた。途中寝苦しかったが急に冷んやりしてきたので、その後はぐっすり眠れた。
冷んやりの元は俺に抱きついて寝ている。
あれ?俺は璃水たちと一緒だったはず‥。
ステアとお風呂に入ったのは覚えているから夢とは思わないけどね。
そろそろ起きようかな。
体を起こすと、手首に違和感を感じた。
よく見たら細いブレスレットがつけられていて、そのブレスレットから伸びた鎖のようなものは雪花の手首にあるブレスレットまで伸びていた。
これは、まさか俺から離れない為に付けたのか‥。
やばい、雪花がヤンデレ化しちゃった。
いろいろ心配かけたから不安なんだよね。
まぁ、そのうち取ってくれるはず‥。
それにしても手錠と違って、細いから低温火傷もしなさそうだし、冷んやりして気持ちがいいなぁ。などと考えていると雪花が目を覚ました。
「旦那様、おはようございます。」
そのまま、濃厚なキスをしてくる。
5分ぐらいして、離してくれた。
雪花ってこんなキャラだっけ?
「その‥、俺の子供を妊娠してくれて、ありがとう。」
すると雪花が大粒の涙を流し出す。
「やはり、そんなんですね。確信は有りましたが、旦那様が言うのであれば確実ですね。」
まぁ、神様に教えてもらったからね‥。
雪花が落ち着くまで抱きしめてあげた。
「とりあえず安定期に入るまでは、動かない方がいいよ。」
俺は雪花のお腹に手をあてる‥。
「それについては、問題ないです。雪女は本来妊娠しにくいのですが、一度妊娠すると、ちょっとやそっとで赤ちゃんが死ぬ事はありません。旦那様との子何ですから、命に代えても守ります!」
雪花のお腹の上に置いてある俺の手を愛おしそうに撫でてくる。
「命に代えてもとか言わないでくれ。俺は雪花が1番大事なんだから‥」
「旦那様、嬉しいです‥」
雪花と唇を重ね、強く抱きしめ合うのであった。
その後、みんなを起こして朝食を取り、記念品を2つ受取り、6日分の支払いを済ませた。えっ?6日間も‥してたの?早く家の改築の計画を立てたいのに、時間を無駄にしてしまった。
さて、今日の予定だけど例の土地の確保だね。
ゾンさんは最後まで渋ったが、ギルドに向かってもらった、引き継ぎは大事だからね。本当に引き継ぎはちゃんとしないと‥会社で苦労したからね。
残りの全員で、まずは不動産屋を目指した。
バウさんは留守だったが、他の担当者から案内の地図と鍵を受け取って、現場へ向かった。
商業地区を抜けると、急に大きな壁が見えてくる。壁は10メートル以上ありそうだ。外から中は見えないが、何か異様な雰囲気が立ち込めている‥。
それから、壁を辿って進むと門が見えてきた。門には鍵が複数かかっており、お借りした鍵で1つずつ開けていく。
最後の鍵を開け、門をずらしていく。
鉄製の門だが、俺の力でも動かせそうだ。
人が通れそうな隙間を開け、中に入ろうとすると俺めがけてスライムが飛び込んできた。
突然だったので反応出来なかったが、雪花がいつの間にかに出した、氷の鎌でスライムを真っ二つにした。
「旦那様は私が守ります。」
本当は男の俺が言いたいセリフなんだけどなぁ。
その後、何度も襲われたが、璃水・イリスさん・ニーナ・ステアさんによって撃退されていった。
敷地内は草や木々が伸び放題になっており、全体的に薄暗い。たしかにこの状態でスライムに襲われるのはリスク高いよね。
さて、他力本願ではあるけど俺の秘策をお見せしよう。
「雪花、身重で悪いけど、できる範囲で凍らせてくれ。」
「旦那様、雪女は身重の方が、力は強くなんるですよ‥」
雪花が小さく笑うと、周囲が凍りついた。
本当だ!最初に見たときより3倍ぐらいの範囲が凍りついている。
他のみんなも初めて見る雪花の本気に、言葉を失う。
さて、次は俺だね。では、『収納』!
すると凍りついた部分がその場から消え失せた。草や木はもちろん、地面も1メートルに渡りえぐれてる。
よし!うまくいった。
スライムも一緒に収納されてる。
生きたままだと収納出来ないけど、凍らせてしまえば死ぬので可能になる。
その後も同じ作業を繰り返し行い、日が暮れるころには、門の中は全て土が剥き出しの状態になっていた。
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