第36話 広告


今日の作業は終了だけど、最後にやる事が残っている。

今後の家・畑作りに必要な妖怪召喚だ。

雪花が妊娠したことでお祝いとして200ポイントを貰っている。これはとても有難かった、神様ありがとう!

まず、召喚前に断りを入れておこう。

「雪花、妖怪を増やしたいけど、問題ないですか?」あれ、無意識に敬語になってしまった、俺の威厳がぁ‥。

「妻ですか?愛人ですか?」

うーん、いつもなら『旦那様のお好きなように』的なことを言いそうなのになぁ。

っていうか、璃水の愛人は採用されたんだ。

「本人次第だけど、呼び出した側に責任があるからね。とりあえず生活の保護は絶対条件。この世界では何が起こるか分からない状況だし、妻・愛人の問題より永遠の誓いを結んで、誘拐などに備えた方がいいからね。もちろん、嫌がったら無理強いはしないけど。」

「分かりました‥」雪花が悲しそうな顔をする。

「落ち着くまでは、雪花以外と子供作らないから、機嫌直して‥」雪花を背後から抱きしめて、オデコにキスをする。


よくよく考えたら俺って最低じゃない!

妻をどんどん増やしていって、さらに今からまた増えそうとしている。

『屑じゃな』

いや、神様変なちゃちゃ入れないで下さい。

『誘拐が怖いなら、奴隷にするしかないのぉ‥』

奴隷にするぐらなら結婚のが方が‥。

『じゃー、そんなに悩むでない。いろいろ思うところもあるじゃろうけど、その分幸せにしてやれ』

分かりました、ありがとうございます。


さて、改めて召喚用タブレットを出す。

彼女を検索したいので、文字列に『どろ』を入力して‥。

あれっ?画面上に広告みたいな表示がある。こんなのあったっけ?すげー邪魔だなぁ。バツで消す。

あれ、メッセージが表示された。

『この端末はウイルスに汚染されています。駆除しますか?』

えー、汚染されてるの?困ったなぁ‥、仕方がない『YES』を選択。

すると2メートル離れた地面に光の柱が現れた。

嘘!何で?

驚いているうちに、光の柱が段々と小さくなっていき、女の子が現れた。


見た目は小学生。ミニスカの派手な浴衣に、金髪、ツインテール、美人だが気が強そうな顔をしている。


おいおい、勝手に出てきたよ。

まさか!?あー、召喚ポイントがなくなってる!

マイナス300!?

コイツ500ポイント使いやがった。

ってか、誰だよ?あんな妖怪いたか?

分からないなぁ‥。

ちなみにあの浴衣、花火大会で見かけるよな。


「どうして何も言わないの?私が綺麗だからって、顎でも外れた?

とにかく、なかなか呼び出してくれないから、私の方から来てあげたわ。ありがたく思いなさい!」


あまりのことに、誰一人言葉が出ない。

なんとか絞り出して尋ねる。

「あのー、宜しければどなたか教えて下さい、可愛いお嬢さん」


「えっ?分からないの?私、結構有名なんだけどなぁ‥、鬼○郎見てないのかしら‥。着物のイメージが‥、でもあんなダサいの着るわけが‥」

女の子がブツブツ呟いている。

「まぁいいわ、おバカな貴方に教えてあげる!私は、かの有名な大妖怪『ぬらりひょん』よ!』ドヤ顔で腰に手を当てて、大笑いしてる。


ぬらりひょんでたー!

って、どこがぬらりひょんだよ。ぬらりひょん要素がない!

あっ、まさかオデコ?

たしかにオデコは出してるけど‥。


どうすんだよ、予定が狂ったよ。

勝手に出てきてたよ、これは反則だよ。

神様!リクエストを要求します!!

『本人が理を曲げて、策を弄したようじゃ。これには他の神も驚いておった。』

で、やり直せますか?

『それは無理じゃ!一度召喚を行えば、やり直しは出来ん。』

でも、マイナス300は酷いです。

『あの子はそこまでして貴方の力になりたかったのよ。察してあげて!』

ん?いつもの神様じゃない。

いや、何か言いくるめようとしてますけど、やったことは犯罪に近いですよね?神様がそれを認めていいのですか?

『男のくせに、終わったことをネチネチと。ケツの○が小さい男!』

あっ、いつもの神様!聞きました?神様がケツとか言ってますよ!!

『あー、わかったわかった。今回は特例じゃぞ、次はないぞ』

ありがとうございます!次は広告に騙されません!!


最終的にポイントは300まで上がっていた。アイツ、まさかそこまで計算して‥。

それだったら末恐ろしい娘だよ。

俺と目が合うと、にやりと笑う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る