第33話 懐妊&初夜みたび


俺が目を覚ますと、雪花が隣でスヤスヤと眠っていた。とても満足そうな寝顔をしている。

俺の記憶が確かであれば、部屋中が氷に包まれていたような‥、今は普通の部屋であった。

もしかして夢だったのではと考えていたら、手首に痛みがはしる。見ると手首には、氷の手錠による低温火傷の傷が残っていた。

さらに身体中には歯形やキスマークが残っている。雪花さん、どんだけ激しいの?

こんなに可愛い顔なのにね‥。

ルール違反のような気がするけど、鑑定を使おうか『出来てるぞ!』

っておい!言うなよ!

まぁ、無駄な鑑定しなくて良かったけど。

『もちろん詳細は見えていないが、神の間でもトレンドになっておったぞ。それはそれは鬼気迫るものじゃった。精魂尽き果てておるじゃろうから2日は目を覚ますことはないぞ。今のうちに休んでおれ』

トレンドって何だよ!検索で先頭にでも出るの?

まぁ、教えてくれてありがとうございました。

『とりあえず祝いじゃ、受け取れ!』

あっ、いつものファンファーレだ。

「イチローは、召喚ポイント200を手に入れた。」

これは有難い。呼び出す側に責任があるのでよく考慮して、使わせてもらいます。

本当にありがとうございます。


とりあえず火傷を璃水に治してもらいたいので雪花は寝かせたまま、部屋からでる。

部屋の外にはメイドさんが控えており、例のスイートな部屋に案内された。


部屋の中には雪花以外の全員が揃っていたが、みんな元気がない。

「どうした?みんな元気がないぞ。」

「雪花さんはどんな様子ですか?かなり思いつめていたようでしてたので‥」ニーナが心配そうな顔で答える。

「それだったら大丈夫だ。今は気持ちよく眠っているから。」

それを聞いて、みんなが安堵する。

「それと、雪花が妊娠したから、みんなにも力になって欲しい。」

「旦那、そんな事も分かるのか?」ゾンさんが驚く。

「うん、いろいろ特技があるからね‥」

神様のことは伏せておく。

「イッチーは大丈夫っす?さすがに3日間部屋から出て来なかったから心配したっす。」

「えっ、もう3日もたってるの?」

「雪花先輩は妖怪だから大丈夫だけど、イッチーはただの人間だよね?」

「うん、普通の人間。まぁ、雪花が食料やら回復薬を大量に持ち込んでたからね‥」

「雪花さんがそれだけ本気だったというわけですね‥」イリスが感心している。

「イッチーいろいろ痛そうっすね。私の薬で治してあげるっす。」

璃水が身体中の傷やらを治してくれた。

「おっ、何だか体が楽になったよ。璃水ありがとう。でも、何だか身体が熱くなってきたかも。これは雪花が使ってた薬と同じような気がする。」

「おっ、イッチー鋭いっす。あれは全部私が先輩にあげたっす!」

って、お前が犯人かい!!

すると璃水が俺をベッドに押し倒す。

あっ、これ最近同じことした。

「何で璃水が俺の上で服を脱ぎ出すの?」

「ニーナ、何で鍵閉めるの?」

「イリスは何でベッドの横に立ってる?」

「私は雪花さんの代理ですので、全てを見る必要があります。」

「では、イッチー頂くっす!」


それから数時間後‥

くそー、アイツも化け物か!妖怪だけど。

ものには限度があるって!

とにかくやっと休める。

「イッチーは、ステアっちとお風呂に入るっす!」

はい、もうどうでもいいです。


2人とも無言でお風呂に浸かっている。

何か気まずいなぁ。

「ごめんな、恥ずかしいだろうにこんなことになって‥」

「私は嬉しいです。人生を諦めていたのにこうやって、また笑うことが出来て。」

「やっぱり君は笑うと可愛いね!」

「ご、ご主人様。」ステアさんが抱きついてくる。

あっ、これはいろいろダメだ。

早くお風呂から上がらないと。

するとゾンさんがお風呂場に入ってくる。

「旦那、準備出来たぞ。早くあがりな。」

とてつもなく嫌な予感がする。


お風呂から上がると、グチャグチャだったベッドは綺麗になっていた、

えっ、いつの間に‥。

ゾンさんにベッドへ突き飛ばされる。

「初めてですよね?」イリスがステアさんに問いかける。

「いえ、私には経験があります‥」

「嘘ですね」いつの間にかイリスがステアさんの手を握っている。

あっ、嘘発見機だ。

「どうして、そんな嘘を?」

「私にはそんな価値はありません。こんな素敵な部屋で物語のような初夜を迎えるわけにはいかません。」

素敵なって、見られるのに?

「私には、台所や風呂場でご主人様に無理やりされるのがお似合いです。」

いや、俺にそんな性癖はないよ。

ステアさんの中で俺はどんなやつ?

「雪花さんからの伝言です。」

イリスがステアさんの耳に何かを囁いている。

聞こえないなぁ‥。

ステアさんが泣き出したよ。

ちょっ、雪花さん何を言ったの!?

あっ、ステアさんの目つきが変わった。

「ご主人様、私は執事として、ありとあらゆる教育を受けてきました、もちろん房中術もです。」何か舌なめずりしてる‥。

「では、ご主人様、お覚悟を!」


それから数時間後‥

もうお婿に行けません。

執事ってすげー。何でも知ってるんだね。

とにかくやっと終わった。

これで休める。

あれっ?ステアさんが見事な腕前でシーツを交換している。

早!って感心してる場合じゃない。

はい!ベッドに投げ飛ばされました。

ちょっ、扱いが雑じゃねぇ?

璃水とステアさんは普通だけど、残り3人の目つきが怖い。

げっ、ニーナに肩を噛まれた。いつの間にそこにいたの?

「さんざんお預けさせられたんだ。これからは俺のターンだ!」ゾンさんコワ!

「さすがの私も限界ですわ‥」イリスもコワ。

痛っ、ニーナさん、血が出てますよ。

もう好きにして下さい。

イチローは諦めて身を任せることにした。

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