第32話 氷の牢獄
雪花から聞いたが俺は2時間ほど倒れてたらしい。ちなみに寝かされていた部屋は不動産さんの一室とのこと。
まずは血だらけのスーツを『クリーン』を使い綺麗にする。
それからステアさんの事を話に行く。
「バウさん、ご心配をおかけしましたがやっと動けるまで回復しました。いろいろありがとうございます。」
「イチロー様、心配しましたよ。もしかしたら足を治してくれるかもと期待はしてましたが、まさか血を吐くまで魔力を使うとは‥。奥様達がとても心配してました。差し出がましいのですが、こういう事は2度となされない方がいいと思います。」
「はい、妻達にも散々言われてますので‥。反省してます。」
「ステアさんを助けて頂きありがとうございます。」バウさんが頭を下げる。
「本当に治ってよかったです。あの何事にも諦めた目は見ていて辛かった‥。でも、今は笑顔が見れて最高です。ちなみにステアさんは連れて行っても大丈夫ですか?」
「すでにイチロー様の奥様ですよね?今さらダメとは言いませんよ。」
「ステアさん、イチロー様と幸せになって下さいね。」
「はい、バウさん今までありがとうございました。お世話になりました。」
ステアさんが深々と頭を下げた。
「バウさん、すみません。2つほど頼みたいことがあるのですが‥。」
「何でございますか?」
「1つは、明日予定してた例の土地のスライム退治を、私の体力が回復するまで延期したいのですが‥」
「そちらの方は全然急いでいませんので、イチロー様が回復された時にお声をおかけ下さい。仮に私が不在の場合は他の者が案内するように手配して起きますので。」
「分かりました。それで最後の1つですが、今回の治療の件を秘密にして頂けないでしょうか?そもそも医療行為を医者以外がするべきではないのです。聞いた話だとこの街のお医者様は法外な治療費を取ったり、客を選んだりしないとのこと。であれば、私が彼らの仕事を奪いたくないのです。」
「私は何も見ていませんので、そのような心配は無用ですよ。」バウさんがとぼけてみせる。やっぱりこの人は良い人なんだなぁと改めて思った。
「では、また数日後にきます。」
不動産屋を後にし、宿屋マツカゼに向かった。
マツカゼについてから、まず妻達に土下座して謝った。1時間ぐらい説教されて解放され、今は雪花と2人っきりで過ごしている。ちなみにステアと何故か璃水は一晩氷の牢獄の中に入れられている。璃水については、俺の事を止められなかった罪だとのこと。璃水、ごめん!完全に俺の巻き添えだね。
雪花が一言も喋らない‥、かなり気まずい。俺が何かを喋ろうとした時、ベッド
に押し倒された。雪花は俺にしがみついて泣いている。
「本当にごめん、今度から何かする時はみんなに相談するから‥。」
「今回ばかりは許しません。」
許してもらえそうにないです。
「何でもするから許して下さい。」
「では、とりあえず今後は絶対に私から離れないで下さい。2度と今日のような思いはしたくありません。」
「はい、神様に誓って離れません。」
「あと、子供を作ってくれるまで、許しません!」
「そればかりはタイミングとかあるから急には‥。」
「それなら大丈夫です。妖怪を舐めないで下さい!」
雪花さん、目が血走ってるます。
「私が本気を出せば2・3日で出来ますので‥」
えっ?今まで本気じゃなかったの?
「雪花さん、何故部屋中を凍らせるのですか?」
「本気を出す為と邪魔されない為です。」
「何故手に氷の手錠をかけらのですか?」
「旦那様が逃げない為です。」
「何故枕元に水や食料、見慣れない薬があるのですか?」
「2・3日、休まずに行う為です。薬は精力剤と媚薬と体力回復薬になります。質問はそれで最後ですか?」
「や、優しくお願いします。」俺は目をつぶる。
「善処はしますが無理だと思います。あと会話もこれが最後です。もう理性が抑えられない‥」
俺の悲鳴が部屋に響き渡ったが、氷の部屋から音が漏れる事はなかった。
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