第24話 取り壊し
不動産屋から馬車に乗り、貴族街の奥にある屋敷に向かった。
俺、雪花、ニーナは初めて馬車に乗ったので、車内で内装を見たり窓から景色を見たりして、なかなか落ち着かない時間を過ごしていた。
バウさん、イリスさんは落ち着いて過ごしている。これが王族、商人と一般人の差なのか‥」
暇なのでニーナの尻尾をモフってみる。
すると人前ではおやめ下さいと、わりと本気で怒られた。
次に雪花の頭を撫でてみた。すると気持ちよさそうな顔をして、俺の手を握ってきた。冷たくて気持ちがいい。
正面に座るイリスさんが怖い顔をしたので外を眺める事にした。
30分ぐらい馬車に揺られて現場についた。ここから城壁までかなり離れている。
改めてこの街の大きさに驚かされた。
現場について、門を潜り中にはいる。ちょっと前から実は屋敷は見えていたが、あえて無視することにした。
だって屋敷が想定より大きくない。
俺の目の前に3階建ての立派な屋敷が存在した。
「今日は作業は休みですので、好きなようにして下さい。」
「この屋敷、お、大きすぎないですか?」
「どうされましたか?先程までの勢いがなくなりましたが‥。やはり無理なのでしょうか?」
「いえ、想像より大きかったので、少し戸惑っているだけです。ちなみに改築で小さくすることは出来ますか?」
「出来なくはないと思いますが、強度の問題などあるので、あまりオススメしませんが‥。」
この大きさの屋敷を維持するの大変だよなぁ。クリーンの魔法は小範囲しか効果ないし、屋敷中かけて回ったら絶対に倒れる。
お掃除してくれる妖怪いたかなぁ。
今更だけど、妖怪は基本的に相手を驚かすことに特化していて、家事をしてくれる便利なものはほとんどいないと思う。
そう考えると雪女は有能だよね。
そう言えば『あかなめ』は一応掃除系なのかな。
女の子に舐めて掃除させるのはさすがに‥。でも野郎に舐められるのはもっと嫌だけど‥。そうなってくるとメイドを雇うしかないけど、いろいろ秘密にしながら生活するのは不可能だから、そうなると異世界テンプレなら奴隷になるのかな。奴隷には抵抗があるが、俺は聖人君子ではないので、必要な時は購入も致し方ないかな。
まぁ、夜の方を強要しなければ、そこまで酷いあつかいにならないしね。持ちつ持たれつかな。
神様、確認なのですが屋敷の収納は大丈夫ですか?
「このぐらいなら平気じゃ。さすがに山とか大陸とか星全体とかはむりじゃがの。」
それだったら明日のスライム退治も大丈夫そうですね。
「知っていると思うが、生きている生物は収納出来ないからの。」
「そのあたりは異世界テンプレで知ってますので大丈夫です。情報も含めてありがとうございます。」
「情報はワシじゃないが、まぁ頑張りなさい。では。」
そう言って神様の声が聞こえなくなる。
「それでは、始めますね。『収納』」
すると一瞬で屋敷が消えた。
俺を除いた全員を驚いた表情をしている。
バウさん、ニーナはふらついてる。
収納をもっていること知っているイリスさん、雪花まで驚いてるのは見ていて楽しい。
「すさまじい性能ですね?どうですか?今後も工事のお手伝いを続けて頂けないでしょうか?」
「困っているとかでは手伝ってもいいのですが、基本的には目立たず、嫁達とのんびり過ごしたいです。権力もいりませんし‥。」
「もったいないような気がしますが、それがイチロー様の良い所なんでしょう。イリス様が気にいるわけですね。」
さて、無事に作業は終わったのでバウさんに奴隷の事を相談してみようと思う。
「今後についてバウさんに話があるので、
みんなは先に馬車に戻ってて。」
3人は馬車に向かってもらった。
「バウさん、少し相談があるのですが、大丈夫ですか?」
「私は大丈夫ですが、奥様達に聞かれたくないことですか?」
「いえ、そういう訳ではないですが、もしかしたら動揺するかも知れないので、後で全員そろって相談したいと思います。」
「分かりました、ちなみに相談したいこととは何でしょうか?」
「実は、屋敷が想像より大きかったので屋敷を管理してくれる人手が足りません。なので執事やメイドを雇いたいのですが、なにぶん秘密にしたいことがいろいろありますので、出来れば口の固い人を雇いたいと思いますが‥」
バウさんは、俺が言いたい事を察してくれたようだ。
「それでしたら奴隷を購入することをお勧めします。イチロー様は奴隷を購入することにご抵抗がおありですよね?」
「はい、頭では分かっているのですが‥」
「大事な家族を守る為には、そこは毅然とするべきだと思います。まぁ、難しく考えなくてもよろしいかと。奴隷もイチロー様の元に仕えれば、幸せかと思います。酷い目にあう人もいますから‥」
よし、みんなの幸せの為に心を強く持とう!
「では、信用のある奴隷商を紹介して欲しいのですが、頼めますか?」
「分かりました、後で紹介状をお渡ししますね。」
「ありがとうございます。」俺は頭を下げる。
「例えばですが、イチロー様は怪我を治す力は無いのですか?実は有能な執事がいるのですが、足を怪我しまして、今は私のところで事務の仕事をしています。」
「バウさんが薦めるってことはかなり優秀な方なんですね。」
「はい、かなり優秀です。何とかなりませんか?」
「一応、知り合いに相談してみます。必ず治せるかは分からないので、あまり期待しないで下さいね。」
「分かりました。準備が出来たらお知らせ下さい。」
こうして、バウさんとの相談を終える。この後はギルドに行ってみんなに相談だね。みんな怒るかなぁ‥。
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