第15話 初夜2
「とりあえず、お飲み物を用意致しますので、お二人ともお座り下さい。」
さて、ここまで予想の斜め上をいっているのでお茶はあえて、緑茶とみた。みなさんは紅茶だと思ってるでしょうね?今回は俺の勝ちです。
「熱いので、火傷には気をつけて下さい」
「ありがとうございます、では‥」
ん?味がしない。色もない。これって白湯じゃん!この世界のお茶ないの?
神様!バランスおかしいよ!!
雪花からも特に感想はないようだって、何で横に座ってるの!?
10人ぐらい座れるのに、何で横?
そういえば、あるよね。パチンコ屋で一人で打ってたら真横に来る人。50台ぐらい空いてるのに。先頭とかならわけるけど中途半端な場所で打ってる横に来るんだよ。しかも全部同じ機種なのに。俺、タバコ吸わないから横で吸われると迷惑なんだよ。
しかも
「これ!話がそれておるぞ。」また神様に怒られた。
雪花が俺にくっ付いてきてる。雪花、着物越しだけど少し冷んやりして気持ちがいいんだよね。
「それでは、お食事は18時にお部屋にお持ちします。それまでは、ゆっくりして下さい。」
「あっ、紹介が遅れてました。私、この部屋専属のメイドになります、ニーナといいます。狐の獣人です。もしお客様が不快でしたら、他の従業員に変わりますが大丈夫ですか?」
高校生ぐらいの狐の耳と尻尾ある可愛い子が、上目遣いで尋ねてくる。
ハイ、ストライク!何この子、狙ってるの?それとも、わざと?あざといの?まさか、いろは○なの??
ピキッ、俺のお白湯の入ったティーカップが、凍りついた。
やばい、嫁さん激おこだよ。
ということで、話題をそらすか‥。
「全然、まったく、これっぽっちも問題ないよ。むしろニーナさんを選んだ支配人さんに拍手を。」
「ありがとうございます、イチロー様はお優しいですね。獣人を嫌っている人が多いので、私はあまり専属の担当は行わないのですが、マイケルさんが、今日で最後の私に担当をやらせてくれました。」
え?あのナイスミドル、マイケルって名前なの?マイケルってよりは、セバスチャンだろ。
「ニーナさん、ここの宿屋、今日で最後なの?」
「はい、明日、親戚が迎えにきてくれることになってます。私、両親や兄弟を獣人狩りで殺されてしまって、行き場のない私をマイケルさんが拾ってくれました。たまたま、泊まりに来たお客様で私の事を知っている人がいたらしくて、その後話を聞いた親戚が私を引き取ってくれることになってます。」
ニーナさんが、物凄く嬉しそうに笑ってる。ずっと1人だったから寂しいんだろうな。それにしてもマイケルいい奴だよ。ナイスだよ、マイケル!!
「それは良かったね。何かお祝いを渡したいけど、明日はまだこの街にいるの?」
「そんな!お祝いを何て受け取れませんよ。」
「まぁ、縁起物みたいなものだし、受け取って欲しい。」
「すみません!明日は朝5時に迎えに来るらしいので、会えないと思います」
「えっ?朝5時?早すぎじゃない?」
「それが、人見知りのようで誰とも会いたくないそうです。シャイなんですかね。」ニーナさん、微笑んでますが、アウト!!絶対に怪しい!!
カレンさんの時、全然役にたたなかった俺の感が何か感じてる。
雪花も同じ気持ちのようで、俺の顔を見て頷いてくる。
わかりました。ハイ、上級鑑定。
【名前】ニーナ
【年齢】15歳
【種族】獣人(狐)
【経験人数】0
【スリーサイズ】80・60・78
【性感帯】耳、尻尾の付根、****
【家族】親戚も含めて全て死亡
【スキル】接客、計算、家事
【特技】耳も身体能力も獣人ではトップクラスの能力
【魔法】
【最近の悩み】
自分の住んでいた村に行ってみたい。引き取ってくれる親戚の家で役に立てるのか心配。
【未来】
親戚だと思っていたのは、実は違法な奴隷商で、無理やり従属の首輪をされ娼館に売られ、10年後に獣人嫌いの人間に拷問されて死亡する。
痛っ、心臓が痛い、胸が苦しい。脂汗が止まらない。上級は凄いなぁ。知りたい情報が手に入った。ただ、体への負担が凄い。今後は本当に封印しないと。そもそも人の未来を見たらダメだ。性感帯とかは人としてダメな気がするけど‥。
あー、雪花が手を握ってくれたので冷たくて気持ちがいい。痛みが治まってきた。
さて、俺も動かないとね。
「イチロー様、大丈夫ですか?急に顔色が悪くなりましたが‥。汗もかかれているみたいですし、心音もおかしいです。」
すげー、こんなに離れているのに俺の心音が聞こえるんだ。さすがトップクラス。
「心配かけたね、大丈夫だから。持病みたいなものだから。」
「それならいいのですが‥」耳が垂れ下がってしょんぼりしている。ほんと可愛いなぁ、モフモフしたいなぁ。
雪花さん、手、冷たすぎます。そのままだと氷ります。
「ごめん、ちょっと手紙を書きたいんだけど、紙とペンある?」
「ありますが、どこに出されますか?場所によってはだいぶ日数がかかりますが‥」
「この街の冒険者ギルドなんだけどなぁ。」
「冒険者ギルドでしたら、冒険者カードで話せますよ。個人には無理ですが、ギルドには可能です。」
携帯かよ!何か驚くのがバカらしくなってきた。もうツッコむのやめよう。
「では、私はこれで失礼します。何か御用があれば、ベルを鳴らして下さい。」
ニーナが部屋から出て行く。
さて、連絡するか。やり方聞いてなかったけど、どうせ念じればつながるんでしょ?
「はい、こちら冒険者ギルド本部、フローテでごさいます。」
「すいません、スタットの冒険者ギルドに繋いで欲しいのですが、お願い出来ますか?」
「スタットですね?わかりました。このまま繋ぎますので、少々お待ちください。」何かメロディが流れてくる‥。
「はい、こちらスタット冒険者ギルドのフォレルといいます。何か御用がですか?」
「すいません、イチローといいますが、カレンさんに用があるのですが、取り次いで頂けないでしょうか?」
「えっ?イチローって噂の?本当に存在したんだ。結婚出来ないから妄想かと思って‥」
「すいません、急ぐので早めにお願いします」
「失礼しました、すぐに呼びますので、少々お待ちください。」さっきと違うメロディが聞こえる。芸が細かいな。
「旦那様、何か御用ですか?まさかそちらに伺えとかですか?今日は雪花が独り占めする予定のはずですが‥」
この人何をいってるのか‥。
「まさか、いきなり3人でとか‥」
「ごめん、冗談言ってる暇ないんだ。」
「すみません、声が聞けて嬉しくなってしまって‥、ご用件を伺ってもよろしいですか?」
俺はニーナの未来も含めて正直に話した。
「信じられないかもしれないけど、信じて「信じますわ」」
「私はイチロー様のことを心から信じております。死ねと言われれば、迷わず死にます。」
アウトな発言だけど、ちょっとうるってきた。
「私も信じてますし、死ねます!!」いや、雪花さん張り合わないで下さい。嬉しいけど。
「後のことは、お任せ下さい。私の命に代えても、その子を守ります。」
「命はかけたらダメだよ。カレンは大事な嫁さんなんだから」
何か、カレンの周りから悲鳴が聞こえた。えっ、これって他の人に聞こえてるの?
あっ、通信が切れた。
大丈夫かなぉ。今後、連絡とか諜報活動系の妖怪も必要だな。
その後、マイケルさんにも事情を説明しておいた。
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