第14話 初夜1


何かいろいろあって疲れたなぁ。まだ一日目が終わってないよ。一日が長いよ。

一日で思い出した、時間・月・年などの考え方は地球と同じらしい。ちなみに文明は中世のヨーロッパぐらいのようだ。時計は貴重みたいで、ギルドの中や一部の広場にしかないとのこと。ただし、年・月・日・時間は例のハイテクカードに表示されるらしい。あのカードすげーよ。


冒険者ギルドを出たあと、紹介してもらった服屋に向かった。そこでは店員さんに襲われることはなく、ごくごく一般的な服と下着などを買った。雪花はガンとして服を買うのを拒んだので、下着だけ購入した。着物以外を着ることはないとのこと。着物以外も似合いそうだったので、着せようとしたが、最後は泣き出したので諦めました。俺は一般的な服を着てるのに、雪花が着物だと結局目立つよな。霧系の妖怪呼び出して隠してもいいけど、それは何か違うような気がするんだよな。もうこうなったら逆に着物や浴衣を流行らせてもいいかも。それぐらいなら神様も許してくらるかな?


服屋を出たあとは、宿屋に向かった。服屋の近くにあって、わりかし大きな建物らしい。

大きい建物ってあれだよね。冒険者ギルドより大きくない?何か城みたいだなぁ。どうも文明のバランスがおかしいんだよね。

疑問に思いながら宿屋の中に入った。


「「「「「いらっしゃいませ、マツカゼにようこそ!!」」」」」

うん、ツッコミ箇所が多くて困ったなぁ。

「マツカゼって何?和風じゃん。よく見たら看板にはカタカナ表記されてる。まぁ、神様の力で俺が読めるように変換かけてあるとは思うけど‥」

「あと、受付が5人もいるよ。おかしいなぁ、宿屋を紹介してもらったはずなのに、高級ホテルにきたみたいだ。」


「一泊したいのですが、2「1部屋空いてますか?」」ん?雪花が俺の前に出たぞ。

「出来れば、記念で止まるような部屋は空いてませんか?」

「1部屋でもいいけど、ベッドは2「大きいベッドがいいです」」

「旦那様もそれでいいですよね?」やばい、何か怒ってる目をしてる。冷気もダダ漏れしてる。

「はい‥。」

「それでしたら、新婚さま用の部屋が空いてますが、如何されますか?」

「そこがいいです!」雪花さん、乗り気だ。

「ちなみにその部屋は新婚さましか泊まれませんので、カードを確認させて頂いても宜しいでしょうか?」

受付の女性に冒険者カードを渡すと、水晶の上にカードを近づけた。すると透明だった水晶の色が白に変わった。

「えっ?まさか、初夜だなんて‥」受付の人たちがザワザワしだした。

「お前たち、お客様の前ですよ!」いかにも支配人って感じのナイスミドルが現れた。

「大変失礼致しました。お客様の前で騒ぐとは。申し訳ごさいません。どうかお許し下さい。」支配人っぽい人が深々と頭を下げてきた。

「そんな、頭を上げて下さい。別に怒ってないですから。ちょっと恥ずかしかっただけです。」

「寛大なご配慮、ありがとうございます。彼女らは後で厳しく叱っておきますので!!」この人、目がマジだ。

「気にしていませんから、絶対に叱ったりしないで下さい。絶対ですよ。フリじゃないですよ!」

「??フリとは聞いたことがありませんが、叱ることはしませんので。注意はしますが‥」


寛大とかご配慮って言葉はあるのに、フリはわからないんだ‥。よくわからない世界だなぁ。


ということで、ロイヤルスイートスイートルームに案内された。何か胸焼けしそうな響きだよな。


「こちらが、当店自慢のロイヤルスイートスイートルームになります。ノブにカードを近づけて下さい。」

はい、出ました。このカード何でもあるよな。召喚用タブレットが霞んできたよ。

カードを近づけると扉が横にスライドした。いや、自動かい!!


「雪花、先に入っていいよ。」

「はい、ありがとうございます。」

雪花が部屋に入ると驚きの声を上げる。

「旦那様、凄いです!とても可愛くて、夢のようです。」

では、この部屋の性能とやらを見せてもらおうか!一郎は部屋の中に入った。


ラノベに出てくる王族の部屋じゃん。もう一度確認するけど、ここ宿屋だよね?もうホテルだよ。それにしても広いなぁ。ベッドなんてレースで囲まれてるし、何人寝られるんだよ。あと、お風呂もあるみたい。


ちなみに、この世界の人は体をふくか、クリーンの魔法をかけるのが一般的のようだ。水道もないから水は井戸から汲むとのこと。お風呂も魔道具などはないので薪で沸かすらしい。夜はライトの魔法かランプとのこと。

ハイハイ!おかしいです!!あれだねカードがハイテクなのに、井戸に薪って。

神様、バランスおかしいよ!

そして、最後のツッコミです。

何で、全部ピンクなの??

部屋中、ピンクだよ。まぁ、薄いピンクだからそこまで目はチカチカしないけど‥。


「お客様、お部屋はどうでしょうか?気に入って頂けたでしょうか?」

「はい!とっても気に入りました。もし家を買ったらこんな部屋にしたいです。」

仮に家を買った場合、雪花には内装を任せないようにしようと心に刻むのであった。

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