ギンだけど?

「こ、これがあったのか?」

「違う。これは、関係ない」

「カエデの私物なのか……?」


 私物って言い方は、やだな。私のじゃないし。これ、持ってきたつもりなかったんだけど……。

 小さな声でギンに話しかける。


「ギンが入れたの?」

「だえ~」


 どうやらギンが勝手に入れたらしい。ギンの中では、これが大切な書類なのかもしれない。

 表紙と数ページは、着火剤の代わりとして使う為に破っていた。目の前に露わになっているのは、スケスケパンティーのページだ。

 オスカーが、チラチラとエロ本を見る。気になるよね。男の子だもん。


「欲しいなら、あげるよ」

「断じて、いらん」


 そんな、険しい顔しても目線はエロ本に向かってんじゃん。

 ギンに洞窟の書類を出してとお願いすると、賊の書類が次々に出てきた。


「これで、全部だと思います」

「これは、想像していたより良い収穫だ。早速、金の準備をする」


 オスカーが、書類に目を通しながらいう。チラッと見た内容に『アンサツ』の文字が見えたので、目を逸らす。知らぬが仏。

 オスカーは、外にいた別の従者にお金を準備よう指示をを出す。残りは、後で見ると書類を小さな箱に入れる。


「え? そんな小さな箱にどうやって?」

「カエデのは、箱型ではないのか? これは、収納の魔道具だ」

「これが!?」


 普通のただの木箱やん。オスカーが許可をくれたので木箱を確かめる。裏には、魔石が付いてる。箱を開くと、中もただの木箱。


「そんなに、珍しいか」

「まぁ。初めて見ましたので」

「外見は、ただの木箱のそれだな」


 ドアがノックされ、お金を持ってきた従者が部屋に入ってくる。オスカーが話している隙に、エロ本のスケスケパンティーページを破り箱に入れてみる。

 紙は、スッと手元から消えなくなった。凄い。どうなってるの?


「ギンもだえ~」


 ギンが、肩でジャンプしながら大きな声でいう。

 オスカーは、視線をこちらに向けたが従者やエディにリーヤは何も気付いてないようだ。

 少し機嫌を損ねたギンを宥めながら、箱を元の場所に戻す。

 従者が、トレーに乗ったベルベットの袋を目の前に置く。


「金貨百枚だ。確かめてくれ」

「確かに。税金とかはないの?」

「ああ。これは、個人の取引だ」


 金貨をギンに収納する。取引終了だ。従者が部屋を出たのを見計らいオスカーが尋ねる。


「以前から気になっていたが、肩のそれはなんだ」

「ギンだけど」

「既視感ある会話だな。答えないつもりか」

「逆に、なんで知りたいん?」

「確かに、そうだが……気にならない方がおかしいだろ」


 ギンも出てきて興味深くオスカーを見ているので、二人を紹介する。

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