双子の今後

「双子はさ、今後どうしたいの?」


 今日は、冒険者ギルドに行こうと思う。首の賞金も欲しいし、身分証も欲しい。ロワーに入る度に銀貨一枚。銅貨が千円くらいなら、一万円?も毎回支払いたくない。

 双子は、今のところ…何故か…私預かりになってるけど…そもそもカエデちゃんは、この世界の人間じゃないから。保護者とかそんな責任は負えない。孤児院に押し付けが、第一希望なのである。


「僕たちは…村に帰りたいです」

「ミラも?」

「私は…伯爵領か王都に行きたいです」


 おいおい。何を言ってんのこの子。理由を聞いたら、最後に見た村は燃えていて、何もない可能性が高い。村がなくなったら家族が向かうのは、近辺の伯爵領だと言う。そこが、ハズレなら王都に向かったのではないかと…意外とちゃんと考えてるじゃん。でも、死んでるって可能性もある。それは、双子の希望を殺してしまうので、言わないけど…


「そっか。どうやってそこにいくの? 地図見る感じ遠そうだけど」

「それは…」


 うん。いや、連れて行ったらって? やめて。私だって自分で精一杯だし…情報面で王都は良いだろうけど、私はこの世界のこと何も知らない異邦人だし。異邦人って言うか、このプラネット?出身じゃないから、エイリアンじゃん。未知生物カエデ。フフ。それはそれで、カッコいいな。


「カエデ?」

「ごめんごめん。それでどうやって行くの?」

「…これを、売ったお金で…」


 見せられたのは、ポケットに大量に入っていた宝石類。すごい集めたね…双子はなんと、他が宝部屋を漁っている隙に、クイーンの部屋の額縁の中にあった宝石を発見したらしい。装飾品じゃないから、これも現金と同じ扱いだろうか? ルビー色は避けてエメラルド色の石を光にかざす。研磨加工前か、濁った色の不揃いの水晶みたい。魔石の方が綺麗な形をしている。


「途中で盗賊に襲われたら?」

「護衛を雇います」

「護衛に襲われたら?」

「…」


 小学生には、少し意地悪な質問だったかな。だが、世の中にはね…悪い大人がいっぱいだよ。この世界でも、数日いただけで十分身に染みた。クソ野郎やビッチはいらっしゃる。賊だけじゃない。あの、私の尻や胸の事を大声で言っていた、空き地の中年オヤジ…次回見かけたら覚えておけよ。柿の話は禁句なんだよ。私は言っていいけど、他は許さない。


「はぁ。とりあえず、攻撃魔法とか使えるの?」

「「火魔法なら使えるよ。せーの。我の——」」

「こらこらこら!!!」


 部屋の中で火魔法をぶっ放そうとする双子を諫める。魔法が使えるなら、なんで賊に対抗しなかったんだ? 双子が言うには、枷に抑制の効果があったらしい。


「魔力が吸い取られて、魔法が使えなかったの」

「へー。そんな事が出来るんだね」


 あの枷も取っておくべきだった。今後の方針は、双子の火魔法次第か。自分たちの身は自分たちで守れるといいけど…今日の予定は、火魔法と冒険者ギルドだね。


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