コレコレ
カイは若干引いてるが、いいんです! お宝がカエデを呼んでいるんです!
扉はなかなか分厚かった。スパキラ剣である程度切れたが…結局、カイの助けもえて、扉ではなく、その周りを抉って無事に開けることができた。この扉なんの素材だろう?
お宝オープン!
あれ…くっ。殆ど書類ばっかじゃん!! 賊のくせにインテリとかしなくていいから!!
「思ってたのと違う…」
「こ、これは装飾された短剣ですよ」
「とりあえず、全部持っていこうか」
この短剣の装飾の蛇…以前、湖で拾った白骨死体に刺さっていた剣に似てる。
賊首の部屋を出ようとすると、うどんが、カリカリとクイーン部屋の壁のタペストリー引っ掻き始めた。
「うどん、いくよー」
「キャウウン」
また、ボール的なものを見つけたのかな?
あれ、ここ後ろがある。タペストリーを捲る。
思わず、顔がにやける。そうそう、コレコレ。
お宝発見である。
タペストリーの奥には、金銀の貨幣、宝石類に武器。結構、貯め込んでる。どれだけの人から奪ったのだろうか…
「魔石もある!」
「す、凄い」
「カイも好きなの持っていこう。殴られた慰謝料だよ。えーと、後ろの貴女も。ここに子供の服もあるよ」
子供の服は、立派な物がいくつかあったが…子供用のブーツには血のシミがあったので、そっと隠して収納した。後、SM的な物も…変な形の棒とか、クロッチレスパンティとか…子供の目に入れるもんじゃない。
「ギン、よろしく」
「だえ~」
賊の財産は、討伐した者が貰っていいそうだ。価値のある物や奪われた物を返して欲しい場合は、買い直す交渉をするらしい。
金銀に魔石をギンに収納。今持っている以上に大きい魔石はないけど、初めて見る色もあるので後で実験だね。オークの魔石もある。ポイっと功労者のうどんに魔石を投げる。
酒樽もあるじゃん! 中身は怖いから飲まないけど、収納できるかとギンを見るが、フルフルされる。大きい物は厳しいのかもしれない。
色々物色する。ある程度、収納したらギンにフルフルされた。武器は十分にあるけど…スパキラ剣以外は、賊が持っていた武器の方がいいのが多いので、交換しよう。
お宝はまだいっぱいあるけど、もうギンに収納できない。とりあえず、目ぼしい物は頂戴した。
「カイ、それだけでいいの?」
「はい。これ以上持てませんし、こんないい剣を買うのに何年もかかります」
「そうなんだ。これは何?」
「チェーンメイルです。ここまで立派な物は、騎士か貴族のかと…」
チェーンメール? なんてアホな事を考えてクスッと笑う。『俺、おかしな事言いましたか?』と困惑するカイには伝わらないカエデジョークだ。
チェーンメールで思い出したけど、元カレがメッセージのトークに送ってきてたな。電子マネーポイント貰えるからと…あんなのに引っかかるの小学生くらいだと思っていたけど…上には上がいる。
それよりも、気になるのは騎士の話。
「騎士がいるんだ?」
「え? はい。カエデの故郷にはいないんですか?」
騎士や貴族…中世臭がする。騎士とは秩序や領土を守る為の馬に乗った兵士や戦いで勲章を得た人達のことらしい。貴族ではないが、平民より階級は上だそうだ。日本で剣を振り回しながら馬に乗ってる人は…いないね。秩序や守りなら、警察とか? 自衛隊とか? それしか思い浮かばない。
「騎士じゃないけど、守る人たちはいるよ」
賊首の部屋を出て最奥に進むと、囚われていた人たちがいた。幾つかの部屋の檻に分かれて枷で繋がれている。女性が多いが、男性や子供もいる。思ったより人数が多い。十人。外にいた二人と賊首の部屋にいた二人を合わせると十四人。
「アリア!!」
カイが駆け寄るのは、セクシーな格好をしたあのシスター風の彼女だ。
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