猪殺す 2
ドスンドスン
「プギャアアアアアアア」
おはようございます。ログハウスの屋根から双眼鏡で猪を観察する。あの猪は朝から何時間暴れれば気が済むんだろう? 体力無限なのかな? あれ? 昨日の傷が治ってる? えええ。回復してんの? 勘弁してよ。まさか別個体? ううん。同じ個体だ。つぶらな瞳の上に白い眉毛の様な毛が生えてる。同じ猪だ。瞳は可愛いけど、あの牙は邪悪過ぎるよ。
こんな巨体に引っ掛けの罠なんて通用しないだろう。通り過ぎただけで、罠は破壊されそう。落とし穴も車を落とせる程の穴を掘るのに何日かかる事やら。その間に猪に見つかってカエデのミンチにされそう。今の状態じゃあ、膜から出て作業する事は無理だよねぇ。
何で毎日来るんだろう? 何の恨みが…
ユキは警戒してるものの、膜からこちらに猪が入れないと知っているのか、地面にゴロリと座ってこちらを眺めている。うどんは完全に寝ている。良くこの騒音の中で寝ていられるね。私なんて、奴の朝3時の訪問から寝れていない。睡眠不足でイライラしているんですよ。
どうするか。どうするか。どうするか。
…
燃やすか。
光の黄色の魔石を棒に括り付ける。ユキが立ち上がる。ユキちゃん、気になるの? クンクンと魔石の匂いを嗅いでいる。これは食べないでね。
光を虫眼鏡の様に使い猪に顔に狙いを定める。狙いは目だ。
「ギャオオオオオオ」
ガハハハハ。燃えろ燃えろ。あれ? 私こんな性格だった? 睡眠時間削られてサイコパスになってきた? 苦しんでいる猪を見てニヤニヤしている自分が急に怖くなった。
早く猪の始末をしよう。ドシンと猪が倒れる。顔半分は焼け爛れ、ゼーゼーと息をしている。これ以上苦しめるのは非道だ。風の斬撃で首を狙う。何度も同じ所に斬撃を入れる。斬撃を入れる度に膜に血が飛び散り滴る。側から見ると本当にサイコパスにしか見えない…
猪の首が切れゆっくりと地面に落ちていく。ベチャと言う音と共に大量に鮮明な血しぶきが飛ぶ。うえぇ~。
少しして、猪の血しぶきが止まる。辺りは物凄く生臭い。地面や木々の色んな所に吹き飛んだ血が付いている。うどんは膜に付いた血をナメナメしている。美味しいかい? あ、やめて。血をナメナメした後に私をペロペロしに来ないで!
さて、この猪はどうするかな…ある程度肉を削ぎ取って…この量あれが冬は超せる? 全部は使えないだろうが、残りはユキとうどんが食べてくれるかな? 早く作業しよう。このままここで腐るのだけは避けたい。
これ、ナイフで切れるのか?
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