誰にも触れられないで

@nemuruyume

第1話 嫉妬

彼女がいる、黒髪を長く伸ばした可愛く優しい自慢の彼女。


元カレがいるそうだ、2人いて僕が3人目。


初めてなんだ、僕は君しかしらない。

厳密に言うと僕の元カノは3人いる。


ただ、意気地のない僕は汚い欲にまみれながらも何も出来ずにさようなら。


畜生、やっちまえやよかった。


君の話は周りの人間から伝わってきて、鬼気として問いただす。我ながら情けないとは思う。君は何も悪くないのに。


逆の立場ならメンドクセーって仲間に愚痴ってただろうな。


まぁ、紆余曲折ありながらなんだかんだ仲良く青春を謳歌し、今、高校よりも先に卒業しそうな時だ。


部活中生徒の声が響いてる。

オレンジの光が薄くなり、

二人だけの教室の隅、

小さく屈みながら前髪を耳に掛ける君。

アホ面の僕。


君が僕を咥えようとしている。

なんでこうなった?そりゃしたいけど、

いろんな思いが込み上げてきて辛い、他の男を咥えた君はどんな表情でどんな気持ちだったのだろう。

僕に対しても抵抗なく出来てしまう所も何もかもが目に付いて落ち込む。


だがしかし一瞬だった。


君の柔らかさと体温に溺れた。


すぐに溺れて思考停止。


そしてすぐに息絶えた。情けない。僕はぐったりと倒れる僕を上から見てる。

「気持ちよかった?」君が頬笑む

「あ、うん、あの、はい」僕は吃る

この場合は、

「ありがとう」「ごめんね」どっちだろ。

二択、確率は五分、ならば当たって砕けろ。


「ごめんね」

「どーして謝るの?好きだからするんだよ?」

その言葉は僕以外にも適用されるんだろうな。


卑屈な僕。


「どうする?」首をかしげて僕に聞く?

「ん?なにを?」

「いゃ、んっとー 続き?する?」


失態だ。

口腔内で自己最高記録を更新してしまった故に、未だぐったりとした己を見つめる。


「ごめん、今日はもぅ出来ないかも、

教室だし、人が来そうな気がして。」

「そうだね、また今度だね。」

「うん。」


積極的なんだなぁっと思う。


僕は卑屈なままいつまでもいつまでも君の過去に毒をはいて生きていく。


大人になって気付くなんて、過去の君がいて今の君が出来ていく事、それらを経てない君は今の君とは違って、僕の隣には居ないかも知れない事、それらに気付いていれば今も隣にいられたかもね。


君のお陰で大切なことに気付いたよ。


「ありがとう」

今度は間違えない。




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