10話.[どういうこと?]

「で、これはどういうこと?」


 気づいたらいつの間にか満里が家にいた。

 横には気まずそうな顔の健太、という形になっている。

 私が動いたわけではないから健太が中に入れたということか。


「健太に帰ってほしくなかったんだ」


 事実そうだから隠したりはしない。

 あと、歯を磨いていなかったから磨かせてもらうことにした。

 そうしたら磨いている私の後ろで腕を組んで睨んできている満里が……。


「だから反対だったのよ」

「でも、変なことはしてないよ?」

「まあ確かに普段の私達からすれば全く健全よね」

「そ、そこまで不健全な毎日というわけではないけどね」


 するとしてもキスまでだし。

 他は抱きしめ合ったりとか、頭を撫であったりとかそういうのだ。


「でもね、本当に気をつけなさいよ」

「分かった」

「ま、もう終わったことだしこれから気をつけてくれればいいわ」


 時間を確認してみたら既に一時を過ぎていた。

 これは間違いなくまた夜遅くに出てきたわけだから普通に危ない。

 なので、ちょっとおでこを突いて怒っておいた。


「原田が来てくれてよかったわ」

「あ、満里が来たわけじゃなかったんだ」

「うん、事情を聞いたときには未羽をぶっ飛ばそうと思っていたけどね」


 だってあそこで帰られてしまったら複雑じゃないか。

 隆介君はいないし、母だって帰ってこないんじゃ結局ひとりぼっちになる。

 大体、いきなり用事とかで来なくなった満里が悪いというか……。


「満里が悪い、用事とかよりも彼女でしょ」

「原田と約束していたから原田がいてくれればいいとか言われたって聞いたけど」

「ま、まあ、それは事実だから」

「ふん、あんたって本当に原田には甘いわよね」


 それは向こうが優しくしてくれるからだ。

 優しくしてくれる人に対して厳しく対応できるわけがない。

 それに本当に友達は私だけとも言ってくれたんだからいい気しかしないだろう。


「ん……」


 彼女は「言っておくけどね、あんたは私のなんだから」と。

 ……歯を磨いた後でよかったとしか言いようがない。

 あと場所を考えてくれているだけでも十分だ。


「今日はもう暇だからこのままいるわ」

「うん、寧ろいてくれないと嫌だよ」

「一緒に寝られても困るからあんたの部屋に行くわよ」

「その前に健太用の敷布団を敷かないと」

「そうね、それぐらいはしてあげないと可哀想よね」


 満里には先に部屋に行ってもらった。

 リビングでぼうっとしていた健太を連れて客間に向かう。


「ひとりにすることになってごめんね」

「いや……」

「布団を敷いていくからさ」


 時間なんて全くかからずに終えることができた。


「それじゃあおやすみ」

「未羽」

「うん?」

「……いや、おやすみ」

「うん、おやすみ」


 私以外は寝不足になってしまうからささっと部屋に戻った。

 堂々とベッドのど真ん中に満里が寝転んでいたから端に寝転がる。


「……ばか」

「ごめん」

「今日はもう離さないわ」

「うん、それでいいから」


 今日は彼女が甘えてくるパターンだった。

 なので、先程まで寝ていたのをいいことに頭を撫でたりすることに専念したのだった。

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67作品目 Nora @rianora_

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