第15話 最後の思い出
卒業式も終わり、私と朱里、鈴織、
家に着くと学校の指定カバンを雑に置いて1番上になっていた黒のパーカーとスキニージーンズに着替える。リュックにスマホと財布、ハンカチなんかを適当に突っ込んで自転車に鍵を挿す。
「あんまり暗くならないうちに帰ってきなさいよ。今日ばぁちゃん家でご飯食べるんだからね。」
「分かった〜 行ってきます」
自転車に乗って坂道を一気に下る。家から5分程度でファミレスに着いた。中に入って大河と陽琉を探してみると2人ともデザートを食べていた。
「おかえり〜 戻ってくるの早かったね〜」
「... 2人ともなんでデザート食べてんの?」
「「食後のデザートは必要でしょ?」」
「あんたら女子か!?」
いつも通りのテンションでツッコミを入れる。朱里はまだ来れそうにないので私が大河と陽琉にツッコミを続ける羽目になった。少し疲れてきた頃に朱里がやっと来てくれた。4人揃ってからやや高めのテンションで話し始める。他愛もない話を数分して、何故か私と陽琉でツーショットを撮ってお会計をする。駐輪場に出てから陽琉がリュックから某アニメに出てくるグミを取り出した。普通では信じられないような味ばかりを手渡してくる。私と大河がその犠牲になって朱里と陽琉がそれを大笑いしながら見ている。
「これ食べていい味じゃない泣」
「なんで2人とも笑ってんの!?」
「「面白いから」」
口からグミの後味が消えてから自転車に乗ってゲームセンターに向かった。
まず向かったのはプリクラだ。3種類ぐらいあってどれなら男子2人が面白いことになりそうか考えて真ん中のプリ機に決めた。意外と次のポーズまでの時間が短くて慌てながらポーズを決めていく。皆でピースをしたり、男子2人2人で双子みたいにしたりしていたらあっという間だった。少しだけ落書きをして分けた後に、UFOキャッチャーやメダルゲームをしていたら6時前になっていた。皆で慌てて自転車に乗って家に帰ることにした。話しながら漕いでいたからか男子2人と別れる道にすぐ着いた。
「じゃあ俺らはここで」
「じゃあな〜」
「「じゃあね〜」」
ここから朱里と別れるまでの道に行く数分は自転車を押しながら話していた。だがその時間もあっという間だった。
「じゃあね 千歳」
「じゃあね 朱里」
いつも学校から帰る時の様に軽くそう言って朱里が見えなくなるのを待ってから自転車に乗った。そういわれれば私はどんな時でも「じゃあね」と言っている気がする。悠里にハグされた時も、告白した時も、そして今日も。その言葉の軽さが好きなのかもしれない、と思った。またすぐに会えるからという気持ちでいつも言っている言葉に縋っているのだろうか。思い返すと私の友達は誰一人として「元気でね」みたいな引っ越す友達に言うお約束の言葉を言わなかった。
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