第12話:模擬戦
「じゃあ、ルールを説明するぞ。勝敗の決め方は降参か有効打を5回当てられたら負け、武器と魔法の使用はありで。」
「ああ、分かった。」
そう言って2人はお互いに距離をとる。
ロイドは腰に提げてある剣を抜きはなった。
「あれ?お前の武器はどこにあるんだ?」
「俺の基本の戦闘スタイルは素手なのでな」
そう言いレントは拳を構える。
「もしかして手加減してんのか?それならやめといた方がいいぜ。」
しかし一向に武器を持たないレントに本当に素手で戦うつもりだと思ったロイドは、剣を上段に構え一歩踏み出す。
「後悔するなよ!」
渾身の力で斬り掛かるロイド、しかしそんな剣撃に対しレントはギリギリまで動かない。
「
そう言ったレントは瞬時に目で追うことの出来ないほどの速さまで加速する。
「今度はこっちの番だ」
レントが目にも留まらぬ速さでロイドに攻撃を浴びせる。
(なんだよこいつ速すぎだろ!?全く反撃の隙がない!)
しかしロイドも負けてない。だんだんとレントの動きに順応してきている。
「いくぞ!身体強化、加速、瞬身!」
同時に三つの強化魔法を使ったロイドは剣を中段に構え、居合の姿勢をとる。
「この技を耐えられるかな?」
ロイドは紫電を纏い抜刀する。
「紫電一閃!!」
その一閃は一条の光となってレントを襲う。
「ふむ、これをまともに食らうとさすがにまずいな...」
そう言いながらも自分から紫電一閃に突っ込んで行ったレントは、拳を構えて魔法を唱える。
「紅蓮衝波」
レントから放たれた一撃は螺旋状に広がりロイドを襲う。
「これで終わりだ。」
ロイドは迫り来る炎の渦を呆然と見上げる。しかしロイドは全く諦めていなく、この技をどのように回避し相手に有効打を与えるかを考えていた。
(この技に当たると間違いなく1発でアウトだ....
なら避けるしかないな!)
そう考えたロイドは決め手のはずの紫電一閃を回避に使う。
間一髪のところで回避に成功したロイドは瞬時に反撃にうつる。
「
不意をついた一撃。完全に入ったと勝ちを確信する。
しかしそれでもレントに斬撃は届かない。
「詰めが甘いな...」
そう言いレントは華麗な身のこなしで全ての斬撃を避けた。
「瞬撃」
次の瞬間レントはロイドに無数の打撃を放つ。
しかしその全てが空をきった。
「.........へ?」
なぜわざと外したのか?と困惑しているロイドにレントは言った。
「これは、殺し合いではない。あくまで模擬戦だ」
そう言い、いい勝負だったぞ。と言ってロイドに手を差し出すレント。
「ああ、完敗だった」
最後に握手を交し、模擬戦は幕を閉じた。
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