入学式②
数週間ぶりに見る青髪の美少女に注目を集めていると、不意に金髪の美青年が口を開いた。
「まずは新入生諸君、入学おめでとう。厳しい入学試験を見事突破し、ここまでやってきた君達を私は誇りに思う。これからは共に学び、共に笑い、共に友情を育んで行こう」
別に何か特別なことを言われた訳じゃないのに、レオナルド殿下の言葉だからか妙に心に残る。何を言ったかよりも、誰が言ったかの方が重要なのだと改めて分かった。
「不慣れな寮生活で何かと不安が多いだろうが、その時は遠慮せず私達を頼って欲しい。我々生徒会は生徒一人一人のために存在しているのだから。最後になるが、君達の今後の活躍を期待しているよ」
そう締め括った生徒会長は優雅に一礼し、他の生徒会役員と共にステージから下りた。
皇太子殿下の挨拶に沸き立つ新入生が我先にと手を叩く。
我々の入場とは比べ物にもならないほど盛大な拍手が巻き起こった。
『このカリスマ性は恐ろしいな』と見当違いな感想を抱く中、司会者が式の進行を続ける。
────それから、理事長の有り難いお話を聞いたり、新入生代表の挨拶を聞いたりして退屈な入学式は無事終了した。
◇◆◇◆
入学式を終えた我々新入生は担任の先生から明日からのスケジュールや学校の説明を聞き、早々に解散していた。
新入生の多くが友人と一緒に校内を回る中、私は寮を目指す。
『面倒臭いから』と必要最低限の催し物しか参加しなかった社交性0の私は、当然ながらボッチだった。
友達は学園に行ってから作ればいいやって思っていたけど、難しそうね。既に幾つかのグループが出来上がっているんだもの。あの中に入るのは至難の業だわ。
友達作りはまた明日にして、今日は寮に戻ってさっさと寝ましょう。
入学初日にして、既に孤立しつつある私は人混みを掻き分けて、寮へ向かう。
敷地内の見取り図を思い浮かべながら、歩いていると────紺色の屋根が見えてきた。
貴族の屋敷のように大きいそれは三つあり、学年別に振り分けられている。
あれ……?おかしいわね。入学説明会のときに見た建物よりちょっと屋根の色が暗いような……?空みたいに綺麗な水色だった筈だけど……私の気のせいかしら?
門の前で立ち止まった私は紺色の屋根をじっと見つめ、首を傾げた。
「眠過ぎて、ついに目がおかしくなった……?どう見ても紺色の屋根にしか見えないのだけれど……」
「────そりゃあ、そうだろう。実際、紺色なんだから」
背後から聞き覚えのある声が聞こえ、パッと後ろを振り返れば、入場のとき隣になった黒髪の美青年が居た。
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