第124話 決勝戦の決着

「痛たたた......思った以上にやるね」

 ユウはゆっくりと体を起こした。

 ......そこそこ頑張ったしそろそろギブアップしよう。まずは地面に降りて......どうやって!? 降り方が分らないんだけど......

 私は空を泳ぐようにして必死に地面のほうに移動する。

 ぜ、全然進まない......

「えっと......何やってるの?」

 ユウにあきれられたような目でこちらを見られていた。

「地面に降りようと頑張っているんだよ!!」

「多分だけど頭でイメージすれば自由に動けるんじゃないかな?」

 何と親切にもユウは困っている私に助言をしてくれた。

 とりあえず言われたとおり地面に降りるイメージをしよう。まあそんな簡単な方法で自由に動けるはずは......動けるじゃないか!

 私の体はゆっくりと地面に降りていた。

「おお! 降りれた! どうも、ありがとう......」

「どういたしまして」

 私がお礼を言ってお辞儀をするとそれに返すようにユウもペコリと頭を下げた。

 ......この人いい人だ。勇者と呼ばれるだけあって物語の主人公みたいにいい人だ。

「マコト君、さっきの言葉を訂正するよ......君は強い。私も本気を出さないと君を倒せなさそうだよ。かといってこんなところで本気を出すわけにもいかないし......よし!」

 ユウは少し考えるようにした後黒服と私を交互に見比べて言った。

「まいった! 私の負けだよ」

「えっと、今何て?」

 ユウ発言を聞いて黒服は聞き返した。

「だからギブアップするってこと!」

 ユウはニコニコしながら両手を頭の後ろに組んでもう一度答えた。

 ユウの言葉で会場が一気に静まり返った。その静けさに耐えきれなくなったのか黒服が話し始める。

「ええっと......ということで決勝戦はこれで終わりということで......いやぁ素晴らしい戦いでしたね」

 黒服が冷汗をダラダラと流しながら観客の顔色をうかがっていた。

「つまんない試合ばかり見せやがって!」

「オイ! みんな! あの黒服をやっちまおうぜ!」

 観客の人たちが次々と闘技場の上に上ってきたので私とユウは逃げるように闘技場から降りた。

「お、お助けを~」

 この後、黒服は観客たちに袋叩きにあったのは言うまでもない。

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