第122話 準決勝勝利からの決勝戦

「決まったぁ! マコト選手の勝ちィ!!」

「「うぉおおお!! いい戦いだったぜ!」」

 黒服が私の勝利を宣言すると観客たちから歓喜の言葉が聞こえてきた。

 はっ! しまった......普通に勝ってしまった。こっちは正直死ぬかどうかの瀬戸際だったからそんな余裕なんてなかったけど......

「では続けて決勝戦ですのでこちらでこのままお待ちください」

 黒服は私に近づいて来て待つように言った。

 ......というか休憩時間すら貰えないのか。決勝戦前なのに......

 しばらくするとユウが現れた。今回はフードは脱いで勇者っぽい服装に着替えたようだ。

「マコト君だったね......正々堂々お互いに頑張ろうじゃないか」

 ユウは握手をしようと私に手を差し出した。私は差し出されたユウの手を握った。

「うん。こちらこそ」

 私が手を離すとユウは少し距離をとった位置に立つ。

「皆さま! お待たせしました! ついに決勝戦です。今日の試合は棄権や開始早々ギブアップとかありましたが......やっと......やっとここまで......うぅ」

 黒服は急に涙ぐみ始めた。

 それは喜ぶことなのかな......?

「さっさと試合始めろ!」

「てめえの長ったらしい演説聞きに来たんじゃねぇぞ! こっちはよ!」

 結局、観客からは罵声を浴びせられるのね......

 黒服は腕で目をこすり涙を拭いた。そして顔をあげて宣言する。

「え、演説はいらない......ですか。えぇ、そうですか! 分かりましたよ! それじゃあ決勝戦......はじめ!!」

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