第121話 私、死んだかも

「ちょっ......タイム! タイム! ほら、これはただの試合だし! ね! 分かるでしょ?」

 私はハイレグ男を落ち着くようになだめた。

 話が通じそうな雰囲気ではないけれど......

「そうね。これは殺し合だから手加減はナシのほうがいいわよね......100パーセントを超えた究極のこの技でフィニッシュにしてあげるわ!!」

 分かってたよ! どうせそんなことだろうと思ったよ! っていうか殺し合いじゃないでしょ!!

 ハイレグ男の殺気がさっきよりもすごいことになっている。

 いや......“殺気”と“さっき”をかけたわけじゃなく......

「いくわよ!」

 ハイレグ男はとても人間とも思えないようなスピードで近づいてきた。私は命の危険を感じて身を引いたがよけ切れなかった。

 さよなら私......まさかこんな形で死ぬなんて......せっかくまた新しい人生が始まったのにこんなに早く死ぬなんて。

 崩れゆく意識の中私は死を覚悟する。

 ............

 ............

 体の痛みを感じない......私が前に死んだときと同じだ。そう、あのときも痛みはなく......え? 今はそんな話どうでもいいって?

 ............

 ............

 そろそろ目を開けてもいいかな?

 私はゆっくりと目を開けると......闘技場の会場の上にいた。

「......あれ? もしかして死んでない?」

 私は自分の両手を交互に見つめた後、ハイレグ男の姿がないことに気づく。

「ガハッ!」

 私は場外のほうを見るとハイレグ男が場外の壁にめり込んで白目をむきながら口から血を流しているのが見えた。

『固有魔法[フィジカルアビリティアップ]中に敵からの攻撃を受けたため固有魔法[オートリベンジカウンター]を発動しました』

 む......無敵すぎる。この能力......

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