第119話 失格ですよ

「あの......一応規則なので対戦選手以外が闘技場の上にあがるとルール違反で失格になるんですけど......」

 黒服が申し訳なさそうに私に教えてくれた。

 まあ、正直失格にしてくれるならそれはそれでありがたいんだけど。

「ふざけんなよ! さっきから棄権や開始早々ギブアップばかりでこっちはほとんど試合見れてねぇんだぞ!」

「これ以上ふざけたマネするならてめぇの人生リタイアさせるぞ! コラァ!」

 観客席から過激で物騒な言葉が飛んでくる。

「まあ、いいじゃないの」

 ハイレグ男が黒服の縮こまった様子を見て代わりに話し始めた。

「どうせ次の試合は次の試合はそこの男の不戦勝ち、そしてその次の試合は勇者の不戦勝勝ち。つまり、次はあたしとそこの男の試合になるわけでしょ。このまま準決勝を始めるってのはどうかしら?」

 ハイレグ男が演説をするとその言葉に呼応するように観客席から賛同の声が聞こえる。

「よく言ったぜ! それでこそこの大会に出る資格アリってもんよ!」

「さっさと準決勝始めやがれ! 俺たちに真の戦いを見せやがれ!」

 観客席からの熱気がさらに上がる。

「あの......ですから失格......」

「じゃああんたがこの男の代わりにあたしと戦ってみたいのかしら?」

「ヒィ! じゅ、準決勝は予定通り行います!」

 黒服が私を失格にしようとしたがハイレグ男の一声でまさかの失格取り消しになったんだけど......私もカチンときたし願ったり叶ったりだけど。

「マコトさん! 王様のことは僕たちに任せてください」

「頼むんだよ、カーミラ」

 カーミラたちも闘技場の上にやってきて王様を2人で運び始めた......2人って誰かって? カーミラと巨漢の男だよ。つまりアヤナはさっきの部屋で待機しているのだろう。

 カーミラたちが王様を闘技場外に連れ出したのを確認して黒服は戦いの開始の合図をする。

「それでは......はじめ!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る