第117話 勇者登場
「ユウ選手の勝利!」
黒服がフードの人の勝利宣言をする。
あのフードの人、どうやらユウって名前らしい。
「大丈夫?」
ユウはアヤナに手を差し伸べた。
「女に優しくしてもらってもうれしくないし!」
アヤナはそう言って1人で立ちあがった。
「おい......あの姉ちゃん、もしかして勇者じゃないか!?」
「そうだ! どこかで見たことあると思ったけど勇者だ......」
観客たちはユウの素顔を見て口々に勇者という言葉を口にした。
え? 勇者? あの人が!?
「あちゃー。やっぱりすぐ分っちゃうのか......謝るのにフード被ってたら失礼かなって思ったから脱いだけどまずかったかな......あははは」
ユウは苦笑いをしながら観客に手を振りながら私たちがいる部屋に戻ってきた。
「あ、あんた勇者だったのか!?」
メガネの5番の選手が尋ねると。
「そうだよ。私は勇者だよ。次の試合で対戦することになるかもしれないね」
ニコッと笑い答えるユウ。
「マジかよ......相手が悪すぎる!」
目付きの悪い7番の選手が怯えながら後ずさりを始める。
そして、5番と7番の選手が闘技場のほうとは逆の位置にある入口で待機している黒服たちを押しのけて部屋から逃げ出してしまった。
「ったく......これじゃあまた観客からブーイングだよ......」
闘技場側にいる黒服が頭を抱えながら闘技場のほうへ向かった。
「申し訳ありません......次の試合は選手のかたが逃げてしまったので次の試合は中止ということで......てへ」
黒服が少し舌を出して可愛く......はないけど謝罪していた。
「気持ち悪ぃんだよ!」
「ぶっ殺されてぇのか!」
黒服のふざけた謝罪のせいで観客がもっと怒りだしたようだ。
普通に謝ればいいのに......
「皆の者! 嘆く必要はない! 次はいよいよわしが素晴らしい戦いを見せてやろう!」
いつの間にか闘技場の上にあがった王様が観客たちに宣言していた。
......もっとも素晴らしい戦いを見せることはできないだろうけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます