第116話 準々決勝開始

 先ほどの兄弟対決が終わり準々決勝が始まろうとしていた。

「1番と3番の選手! 用意をしてください!」

 黒服が選手たちを呼び出した。

「私ね!」

 アヤナは元気よくそう言って闘技場へ向かう。

「アヤナ! 負けるんだよ! 今度は絶対に負けるんだよ!」

 念のため私はアヤナに伝えておいた。まあアヤナが負けても私は準決勝までは残らないといけないんだけど......

「大丈夫ですよ! 決勝戦で私とマコトさんが勝負することになったら負けますよ!」

 アヤナはグッジョブサインで答える。

 あの......次の試合の話をしているんだけど。

「それでは......はじめ!」

 試合が始まったようだ。フードのほうがアヤナに素早く近づいていった。

「きゃぁあああ! 襲われるわ! この痴漢!!」

 え......? まさかアヤナはさっきと同じような戦い方をするつもりなのだろうか?

 しかし、フードのほうはそんなアヤナの様子を気にすることもなく腕を掴んで場外へ投げ飛ばした。

「......っ痛たたた......」

 地面の上に投げ飛ばされたアヤナはお尻から落ちたようで自分のお尻をさすっていた。その後フードのほうを睨みつけて文句を言いだした。

「ちょっと! 痛いじゃないの! まったくこれだから田舎者の男は! レディの扱い方が分ってないわね」

 そりゃあ試合だからね。攻撃されれば痛いよ......それに試合に出た以上レディだから手加減とかはないと思うよ。

「ごめんね。痛かった? なるべく優しく投げてあげたつもりだったんだけど......」

 フードの人はフードを脱いでアヤナに長い髪を揺らしながら頭を下げて謝罪......って女の人じゃないか!!

 つまりお色気は初めから全く無意味だったということだ。

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