第115話 バトル系の話ってだいたい解説役いるよね

『固有魔法[フィジカルアビリティアップ]中に敵からの攻撃を受けたため固有魔法[オートリベンジカウンター]を発動しました』

 システム音のようなものがまた聞こえた。どうやら魔法名の感じからしてカーミラの攻撃に反撃をしたようだ。

「あははは......やっぱりマコトさんは強いですね。僕じゃ全然相手にならなかったです」

 カーミラは少し悔しそうに私に笑いかけた。

「いや......カーミラもなかなかいい蹴りだったよ」

 観客席から今度は声援の声が聞こえる。しょぼい戦い......いや戦いと言っていいのかも疑問なのが続いてたもんね。

「では、お2人は戻ってください」

 私たちは黒服の誘導で先ほどの部屋へと戻っていく。

「戻ったか。お主たちもなかなかの戦いだったな。まあ、わしが戦っておればいいところを見せられたのだがな」

 王様は相変わらずの強気の姿勢で私たちの戦いを褒めてくれた。

「15番と16番の選手! 用意をしてください!」

 黒服は淡々と次の選手を呼ぶ。

「「おっしゃ! 俺たちの番だ!」」

 よく似た2人の男が声をそろえて立ちあがった。

「「真似すんな!!」」

 2人の男はお互いに野良犬のように睨みあった。

「おめぇ。あいつらのことが気になってるど? あいつらは暴れん坊兄弟として有名な......」

 巨漢の男がバトル系のお話で有名な解説役のようなことをし始めた。

 いかにあの2人が強いのかを説明して主人公があっさり倒して「主人公まじ強ええ!!」みたいな流れになるのだろう......それなら残念! だって次負けるつもりだからね!。

「......だど」

 どうやら話が終わったようだ。

「マコトさん、試合終わりましたね」

 カーミラが試合会場を指差しながら言った。

 おっと......瞑想している間に試合まで終わってしまったのか。

「どっちが勝ったの?」

 一応次の対戦相手になるわけだから念のため確認してみた。

「え? 見てなかったんですか? 引き分けですよ。しかも2人ともボロボロで次の試合も無理そうなのでマコトさんは次不戦勝ですよ」

 は、早く帰らせてほしいんだけど!!

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