第113話 棄権は禁止です!

 ハイレグ男は涼しい顔で部屋に戻ってきた。やっぱりただ者じゃないみたいだ......この人かなり強い!

「次! 11番と12番の選手! 用意を!」

 黒服は次の試合の選手を呼んだ。

「やっとわしの出番か」

 王様は指をパキパキと鳴らしながら闘技場へ向かう。

 ......言うまでもないがまったく負ける気はなさそうだ。

「あれ......12番さん! 居ませんか?」

 黒服が部屋を歩き回りながら呼びかけていた。ところが誰も反応しない。

「仕方ないな......全く」

 黒服は闘技場へ走って向かった。

「12番さんは棄権! キング選手の勝利!」

 黒服は闘技場の上で王様の勝利を宣言した。

「ふざけんなよ! こっちは金払って来てんだ!」

「戦いを見せろ! 戦いをよ!」

 さらに観客からのブーイングの声が強くなった。

 まあ観客は戦いが見たくて来ているわけだしね......

「ふっ......まあ仕方ないこと......このわしを前に怖くなったいうことだ! おっともしかしたら次の対戦者も逃げてしまうかもな!」

 部屋に戻ってきた王様が独り言をつぶやいていた。

 王様は気づいているのか分らないけど次の試合はハイレグ男だからその心配は限りなくゼロだよ。ん? 今気づいたけどカーミラと私......棄権すればいいんじゃない?

「棄権は絶対にしないでください! 大会主催者に怒られますよ! ......私たちが!!」

 黒服が恥ずかしげもなく自分たちが怒られないようにお願いをしてきた。

「マコトさん......次の僕たちの試合はそれなりに戦って負けますね......」

 カーミラがものすごく気を使っていた。

「うん......そうだね......」

 仕方ないから私も協力してあげることにしよう......

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