第112話 ザコキャラと強キャラ

 その後試合が進み5番目と6番目の試合が始まった。

「俺の計算だと勝率99.9993パーセント......つまりあなたが勝てる可能性はほとんどありません。降参することをお勧めしますよ......」

 メガネを左手の中指でクイッと上げてにやりと笑う5番の選手。

 いやいや......そんなセリフ言う人ってだいたい負け......

「な、何だって! じゃあ俺は勝てないじゃないか!? まいった!」

 ウソでしょ......? 人を疑うことを知らないの? 名前も知らないけ6番さん。

 いきなり降参宣言をしたので観客からブーイングの声が聞こえる。

 そして5番と6番の選手と入れ替わりで入る7番と8番の選手。

「俺はAランクのクエストを3つもソロクリアしたことがあるスゴ腕冒険者だぜ......ビビって逃げ出すなら今のうちだぜ!」

 目付きの悪そうな7番の選手は8番の選手を挑発する。

 だからそんなセリフで逃げだすような......

「オイオイオイ!! なんでそんなに強えやつがいるんだよ! 降参するに決まっているだろ! まいった!」

 何これ? 武闘家の国なんだよね? なんで口論で戦っているの?

 もちろん今回も観客からさっきよりも激しいブーイングが聞こえる。

「次は9番と10番の選手! 用意をしてください!」

 黒服はこの異常事態も気にせず次々と試合を進める。

 もしかしてこの大会は普段からこんな闘いをしているんだろうか?

「やっとあたしの出番ね......」

 ハイレグ男は立ち上がり闘技場へと向かった。私はこの大会自体には興味ないけど、ハイレグ男の先ほどの態度を見て少しに気なっていた。

 ......もちろん男(イケメン)としてではなくね!

 ハイレグ男とその対戦者は闘技場の上へとあがった。

「兄ちゃんよォ! 俺の顔見て逃げださねぇとあ勇気があるじゃねぇか! 俺はこの国で......」

「興味ないわ......さっさと始めましょう......」

 ハイレグ男は対戦者の言葉を遮って構える。

「ギャッハハッハハハハ! オイオイ......俺のことを知らねえなんてとんでもねぇ田舎もんがいるじゃ......」

 ハイレグ男は対戦者の顔面を右手で掴みそのまま指に力を入れる。

「い、痛たたたたた! や、やめろ! お、俺の顔がぁあああ!! まいった! 放してくれぇ!」

 うん......ザコキャラっぽいセリフ言ったやつはこんな風にやられるべきだよね。

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