第106話 武闘家の国

「王様! その国はどこにあるのですか?」

 私はすぐに王様に尋ねた。

「ここから南西方向に5000キロほど行ったところ......馬車でも約ひと月はかかるだろうな」

「分かりました。じゃあすぐ行きましょう!」

「いや......ひと月かかるのだからそれなりの準備をしないと」

 王様はあきれたような顔をして答えた。

 まあ、普通に行けば準備はいるけど、私にはテレポートの魔法があるから一瞬で移動できるのだ。

「大丈夫ですよ。王様、私に捕まってください......それからカーミラも捕まって!」

「いったい何をするのだ......?」

 王様は不思議そうに首をかしげていた。

「王様さん、騙されたと思って捕まってみてください」

 『王様さん』なんて呼び方初めて聞いたぞ......カーミラはすごくまじめな顔をしているしどうやら天然で言っているみたいだ......笑ってはいけないな。

「とりあえず捕まればよいのか」

 王様は私の右肩を掴み、カーミラは左肩を掴んだ。私は2人が掴んだのを確認して魔法を発動する。

「探索魔法......オールテレポート!」

 私は王様の言った南西方向に5000キロあたりの位置にある人が集まっているところを探索してその場所に移動した。

「な、何が起こったんだ......」

 王様は目の前に広がっている光景に驚愕の表情を浮かべていた。

「王様の言っていた街に移動したんですよ。ここで合ってますか?」

「あ、ああ......合っている。こんなこともできるとは驚いたぞ......」

 伝説級の魔法って言ってたし王様が驚くのもしょうがないか。

「ん~おはようございます、マコトさん......あれ? ここどこ?」

 背中で眠っていたアヤナが起きたようだ。一旦、アヤナを背中から降ろしてあげた。

「ここは......」

 私が説明をしようとしたところでいきなり派手な服を着た男が話しかけて来た。

「あ~いたいた。あなたたちですね......大会に参加するのは」

「え、ちょ......何?」

「いいから......とにかく急いでください!」

 派手な服を着た男は私たち4人を大きな建物の中に押し込むように入れられてしまった。

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