第104話 王様が仲間になった?
「妻よ! 娘たちよ! これよりわしは魔王と戦いに行く!」
ボロボロの布切れを首に巻いてマントのように着こなした王様は木の棒を右手に持ち空高く掲げた。
「あなた、気をつけて」
「「お父様頑張って!」」
王妃様と姫様たちの声援を受けながら王様はこちらに歩いてきた。
私はゲームについてあまり詳しくはないけど王様の今の恰好はどう考えても魔王を倒しに行く格好ではなく初期装備にしか見えない。......いや初期装備でも木の棒ではなく木の剣くらい持っているんじゃないだろうか?
「では行こうか!」
王様はどうやら本気らしい......口で言ってももう無駄かもしれないな。少し痛い目を見てもらえば諦めるかもしれないな。魔王城にいる魔王軍の下っ端と戦えば怪我くらいで済みそうだし。
「分りましたよ......」
私はしぶしぶ魔王討伐メンバーに王様を加えることにした。早めにリタイアすることの願いながら。
「マコトさん、一旦アヤナさんが声をかけた冒険者たちを探しませんか? 『キング』が見つかりましたので教えてあげた方が良いかと思います」
「そうだね、カーミラ。とりあえずアヤナが冒険者たちに声をかけたあの場所に戻ろう」
私たちは元来た道を戻り始めるとわらわらと人が集まってきた。
「「『キング』! お気をつけて行ってらっしゃいませ!」」
どうやらホームレスの人たちがお見送りをしに来てくれたようだ。
「任せるがよい! わしが吉報を持ち帰ろう! さあわしに着いて来るのだ!」
王様はグット親指を立てて白い歯を光らせながらホームレスの人たちの声援に応えながら先頭を歩き始めた。
あれ......いつの間にか王様がリーダー面してない? まあ、私は勇者になりたいわけでもないし別にいいけど......
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