第102話 『キング』の正体

 男について行くこと数分、ボロボロの服を着た人たちがたくさんいるところに出た。

「おや......もしかして新入りかい?」

 長く白いあごひげを蓄えたお爺さんが声をかけてきた。

「ああ、この3人が『キング』に会いたいらしい」

 私たちを案内している男が親指でこちらを指しながらお爺さんに答えた。

「お前さん立ちまだ若いのに大変だな......困ったことがあったらわしらに何でも聞くと良い」

 お爺さんが可哀そうな子を見る目で私たちのことを見てきた。

 なんでそんな目で見てくるのだろうか......? 少し気にはなったがとりあえず気にしないでおこう。

「こっちだ! 着いて来な!」

 案内している男に着いて行き奥のほうまで行くとと風格のある男が座って......え? あの人は!?

「もしかして......王様?」

 そう。そこに座っていたのはまぎれもなく王様だった。服はボロボロで前にあったときとは全然違うけどだけどあの顔は覚えている。

「お主は確か以前にわしらを救ってくれた者!? また会えるとはな」

 王様の後ろに王妃様や姫様たちもいた。家族勢ぞろいとは......

 私は全然会いたくはなかったけれどね! ......でも意外にもこんな形でしぶとく生きているとは思わなかった。

「えっと......お久しぶりです......」

「あの......マコトさん、知りあいなんですか? 『キング』と?」

 カーミラは私の肩を軽く叩いて尋ねた。

「うん。まあ一応......」

 全く誇れる知り合いではないけれど。

「『キング』、こいつらが会いたいと言っていましたので連れてきました」

 案内してくれた男は王様に耳打ちをした。

「そうか......お主らもホームレスに......」

「あなた、この子たちも仲間に入れてあげましょう」

 王様と王妃様のやり取りの後、王様家族はハンカチを片手に涙を拭いていた。

 うん......なんだか話がかみ合ってないようだね。

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