第101話 『キング』の手がかり

「ここ人が多いんで四つん這いで歩いてたら他の人に踏まれて危険だと思うのでやめた方がいいのでは......」

 ま、別に心配はしてないけどカーミラが怖がってるからやめて欲しいだけだけど。

「君......まさか俺の代わりにここでピックアップコゼニするつもりか!? この縄張りは誰にも譲らんぞ!!」

 男はネコが威嚇するようなポーズでこちらを睨んできた。

 だめだ......この人は話を聞かない系の人だ。カーミラもすっかり怯えて私の服のぎゅっと握りしめて後ろに隠れてしまった。

「はぁ......別の場所に探しに行こう」

 私はその場から立ち去ろうとしたところで男が気になることを言った。

「これはもう『キング』に報告をするしかないな!」

「え? 『キング』だって!?」

 私はすぐさまその男に聞き返した。

「君......『キング』の知り合いかね?」

「いや、知り合いってわけじゃないけど......ちょっと話をしたいと思ってて探してたんだ」

「ふむ......なるほど君も俺たちと同じということか。なら着いてくるがいい! 『キング』のところに案内してやろう」

 同じってどういうことだろう? 私はあんな四つん這いして歩くような人と同じにしないで欲しいんだけど。とりあえず案内してくれるならついていこうか。

「マコトさん......着いて行くつもりですか?」

 カーミラは私に耳打ちした。

「うん。案内してくれるって言ってるし着いて行こうかなと」

「うぅ......ですよね。怖いですけどマコトさんと一緒なら我慢します......」

 カーミラはしぶしぶ着いて来ることにしたようだ。

「君たち来るのかね? 来ないのかね?」

 待ちくたびれたのか男は少し不機嫌そうな声で言った。

「すみません。今行きます」

 小走りでその男に駆け寄った。

 よし! これで何とか『キング』と会うことができそうだぞ!

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