第100話 怪しい人
「さ、後は待つだけですね」
アヤナは近くの木陰に腰掛けて枕を用意......ってどこから出したんだ枕!? この子......まさかさっきの冒険者に探させておいて自分は何もしない気だろうか? ......いや、考えるまでもなく何もしない気だろう。
「マコトさん......僕たちも探しましょうか」
カーミラも察したのかアヤナには声をかけず私にだけ声をかけてくれた。
「そうだね。探しに行こうか。アヤナはここで待って......ってもう寝てるし」
綺麗な鼻ちょうちんを作りながらアヤナは爆睡モードに入っていた。
というかこんなところでよく寝られるな......これだけずぶとい神経してるならここに置いておこうかな。いや、さすがに無防備に寝ている女の子をここに置き去りにするのはよくないよね。同じ女としては見捨てるわけにもいかないよね。
「よいしょ......っと」
アヤナをおんぶして連れて行くことにした。
「マコトさん、さすが男の人ですね。力があって羨ましいです」
う~ん。褒められているとはいえ男だと言われるのはなんだか複雑な気分だ。まあ確かに力があって便利ではあるんだけど......
「とりあえず広場のほうで聞き込みをしてみようか?」
「はい。行きましょう」
カーミラの元気な返事を聞くと同時に私たちは広場のほうへ向かった。
「人が多いね......」
「はい。この広場はこの時間の人通りはかなり多いんですよ。丁度買い物客がよく出歩く時間なので」
なるほど......確かに両手に買い物かごを持っている人が多いな......ん?
よく見ると買い物かごを持っている人たちの間をすり抜けるように四つん這いになってゴキブリのように高速移動をしている男がいた。
「えっと......あれはこの街の風物詩的なものかな?」
「そんなわけないじゃないですか!? 明らかに不審者じゃないですか!!」
カーミラが私に向かって叫ぶとその声が聞こえたのかその体制のまま男がこちらにやってきた。
「君、失礼ではないのかね? 人に向かって不審者などとは......」
「ひっ......」
「すみません。連れが失礼しまして......それより何をしていたんですか」
カーミラはその男に怯えたようにしていたので私が代わりに答えた。
「HaHaHa......おかしなことを聞くね、君。俺はただピックアップコゼニをしていただけさ」
その男は立ち上がってやれやれと言わんばかりに笑いながら話した。
何かちょっとイラっとするしゃべり方だな......要するに小銭を拾ってたってことか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます