第97話 もう会うこともないだろう

 私たちはカーミラの家の前に戻ってきた。

「ちょっとマコトさん!! ミリムさん置いてきてよかったんですか!?」

「カーミラ、大丈夫に決まっているじゃない。だってミリムとの約束はチカちゃんを探すことでしょ? つまり約束が終わったんだからもうミリムと一緒に行動する必要はないよね? そうでしょ?」

「確かに......マコトさんのおっしゃる通り......って言うわけないじゃないですか!!」

 綺麗なノリ突っ込みをありがとう、カーミラ。迷いの森を抜けなければここにはたどり着けないしミリムともう会うこともないだろう。

「ま、終わったことはさておき、アヤナをベッドに連れて行こうよ。こんなところで寝かせておくわけにもいかないでしょ」

「あ、はい。そうですね。もう終わったことですもんね」

 おやおや? 意外とカーミラもあっさりと引き下がってくれたぞ。もしかしたらカーミラもミリムのこと邪魔だってことには同意だったのかもしれないな。

 そんなことを考えながら私はカーミラと一緒にアヤナを家のベッドまで運んだ。

「カーミラ、今日はもう遅いし私たちもそろそろ寝ようか」

「そうですね。おやすみなさい」

 私は心配ごともなくなってぐっすり休むことができた。

 翌朝、目が覚めるとダイニングへ向かうとカーミラとカーミラの母が朝食の用意をしていた。

「あ、おはようございます。マコトさん」

「おはよう、カーミラ、カーミラのお母さん」

 私はぺこりと軽くお辞儀をする。

「おはよう。そんな言い方しなくていいのよ。普通に『お義母さん』って呼んでくれれば!」

 にっこりと自然に笑いながらカーミラの母は微笑んだ。

 ......何かさっきの言い方、『お義母さん』の漢字で呼んで欲しいように聞こえたよ!? 『お母さん』の漢字のほうじゃなくて!

 カーミラの妄想癖が激しいのは母親譲りなのかもしれないなと思わずにはいられなかった。

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