第96話 魔王との闘いに向けて
私たちはとりあえず最初に転移した食堂のところに戻ってきた。
シオンとの約束はチカちゃんを助けるところまで......つまりここでお別れだ。
「シオン、ありがとう。助かったよ」
「......役に立てなくて悪かったわね」
シオンは申し訳なさそうにうつむいていた。
魔王軍幹部との戦いじゃ活躍はできなかったし......そのことを気にしているのかもしれない。何かシオンの活躍を褒めてあげて満足してもらおう。何かないか、何か......そうだ!
「シオンにはミリムの暴走を止めてもらったから助かったよ。いやぁ私たちじゃ止められなかったからさ!」
「私の活躍そこなの!? ほらもっと他にあるでしょ?」
あった......かな? う~ん。特に思いつかないな
「残念じゃったの! シオンは所詮その程度の活躍しかできんのじゃ!」
ミリムは得意げにシオンの肩を叩いて慰めていた。
しかし、ミリムは自分の言ったことを理解しているのだろうか? 自らが邪魔ものであることを肯定しているのだけど......
「まあ、いいわ。全く活躍できなかったって言われるよりましだし。 ......ついでにミリムが鬱陶しいこと言ってたけど疲れたから見逃すわ......それじゃあまた機会があったら会いましょう」
シオンはそのまま背を向けて右手を挙げて去っていった。
「さて......ミリムも今まで手伝ってくれてありがとう。おかげでチカちゃんに会うことができたよ」
「何を言っておるんじゃ? 魔王討伐も協力するに決まっておるのじゃ! 魔王軍幹部だけじゃなくて魔王も倒したとなればわしの名声はうなぎ上りなのじゃ!!」
どうやらミリムが今まで私たちに協力してたのはそれが理由のようだ。シオンがいなくなった今も暴走を止める人もいないし......よし!
「カーミラ!」
「はい? なんでしょうか?」
私は左手でアヤナの腕を掴んだまま右手でカーミラの手を握る。
「ま、ま、ま、マコトさん!? 突然どうしたんですか!?」
「オールテレポート!」
私はそのまま移動魔法を発動した。
「待つのじゃ! わしを置いて......」
ミリムの言葉を聞く前に私たちは移動した。
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