第94話 魔王について聞いてみる

「それから私からとっておきのプレゼント......このネックレスをあげるわね」

 ローズは自分の首元につけていたネックレスを外して私に手渡した。

「これは?」

「魔王城への行くための鍵よ。あなたなら魔王を倒せるかもしれないわ」

 え? 何? ローズは魔王を倒せとでも言いたいのだろうか? 他の冒険者ならいざ知らず私がそんな怖そうなのとわざわざ望んで戦いに行くとでも?

 だけどただ一つ気になることがあったので私はローズにこう尋ねた。

「その魔王って......顔がいいのかな?」

「......顔はとてもいいわ。美形で私もつい見とれてしまうわ」

 ローズは恋する女の顔になって頬に手をあてながら答えた。

 なら私がとるべき行動は決まったね。何をするかって?

「私は魔王のところに行ってみる!」

 どんなイケメンかを見に行くために......だけどね!

「そう。なら気をつけてね。性格はアレだけどとっても強いから。それと、これからはチカは私としばらく一緒に暮らすわ。あなたが魔王を倒しに行くならその方が安全だから」

「え? 母親ならしばらくじゃなくてずっと暮せばいいんじゃないの?」

 もともとチカちゃんの親を探すために一緒に行動するようになったわけだから、母親が見つかった今はもう私たちと一緒にいる意味はないだろう。

「チカがね。『おにいちゃんと暮らすの』ってずっと我ががま言ってたから仕方なく承諾したのよ。いつでも手を出していいわよ!」

 ローズは世間話でもするかのように自分の娘に手を出して言いとか言いだしたんだけれど......っていうか手を出す気はないよ! チカちゃんは女の子だし! 未成年だし!

 さすが教育方針の間違った母親だけあって言うこともまともじゃなかったよ。

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