第91話 聖剣デュランダル
ローズは黒い靄のようなものを出現させてその中に手を入れる。そしてそこから剣を取り出した。
「では......行くぞ!」
剣をこちらに向けてものすごいスピードで距離を詰めた。私は以前と同じく使い方が分っているかのようにその攻撃を防御し、ローズの攻撃を弾くとすぐにがら空きになった腹部をめがけて切りつける。しかし、ローズの服が少し裂けただけでダメージは与えられなかったようだ。
「想像以上だ......もしかして本当に......」
ローズが小さな声で呟いた。
「何言ってるの? 続けて攻撃させてもらうよ! やぁあああ!!」
私は再び剣を振り上げローズに斬りかかる。今度はローズは回避せずに私の剣を自身が持っている剣で受け止めた。
「くっ......この力、人間が出せる力とは到底思えない.....」
「さっきから何のつもり? 全然本気出してないよね?」
「......本気を出していないか。だがそれはそちらも同じでは?」
私の場合は本気出していないというより戦闘経験が少ないから戦い慣れしていないだけなんだけど。だって自分の使える魔法すら把握してないもの......あ、でも剣技のほうはこれで本気のつもりなんだけどな。
『ご主人さま! ご主人さま!』
どこからか声が聞こえた。
「え? 誰?」
『俺は聖剣デュランダル、ご主人さまが今持っている剣だ』
私は手元の剣を見た。
あ、この剣ね......
「......って剣がしゃべってる!? ま、ファンタジー世界ならそんなこともあり得るか」
意外と冷静に私は受け入れた。
『ご主人さまのピンチと見て必殺技を伝授しようと思ってね......さあこう叫んで剣を振り下ろすんだ! [邪龍煉獄殲滅裂覇斬]と!』
「ところでそれはどんな技なの?」
何か剣と会話するのに違和感があるけどデュランダルに聞いてみた。
『簡単に言うと目の前を敵を焼き尽くすと同時にこの世界の半分を焼け野原にするんだ』
「なるほど世界の半分を焼け野原......って使えないよそんな技!! もっとお手軽な技!」
危なかった......もしこの技使ってたら世界を壊したってことで私が魔王扱いされるところだったよ......
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