第89話 騎士道精神
「あ、あのローズとか言う魔王軍幹部は何て騎士道精神のある奴なのじゃ! さっき名乗りを聞く前に攻撃したマコトとは大違いじゃ!」
そうそう私と違って騎士道精神がある......私と違ってってどういうことかな? よし! 後でミリムに詳しく話を聞く必要がありそうだね!
「馬鹿な奴だわ! 近接戦闘なら魔力切れになった私たちでも攻撃ができるわ!」
シオンは一気に私たちの間を駆け抜けてローズに蹴りを入れた。しかし、ローズは表情を変えることもなく簡単にその蹴りを腕でガードした。
「くっ......まるでダメージがないわ! でもまだまだ!」
シオンは連続で蹴りを入れ続ける。だが、やはり攻撃は防がれ続ける。そして逆にローズから鳩尾に拳で反撃を受けた。
「さすが魔王軍幹部......そう簡単には倒せないってことね」
シオンは鳩尾を抑えしゃがみこんでながら私たちに声をかけた。するとミリムはおびえたような表情をしながら後ずさりをした。
「シオンの蹴りをあんなに簡単に防ぐじゃと!? シオンは魔法だけじゃなくて体術のほうも長年鍛えておったから相当強いはずなのにじゃ! これじゃまるで無駄に年食っているただのババアなのじゃ!」
「私は魔王軍幹部より倒さないといけない相手ができたわ......」
シオンがミリムを睨んだ。その倒さないといけない相手は言うまでもないだろう。
「あの......後にしてくれませんか?」
「悪かったよ......」
「悪かったのじゃ......」
魔王軍幹部を目の前にしてカーミラに説教されるシオンとミリム。こんな状況なのに緊張感ないな......
「次は誰が攻撃をするのだ? 何なら全員まとめてかかってきても良いぞ?」
私たちの話が終わるのを待ってローズが私たちに告げた。
それにしても何でこの魔王軍幹部はこんな変な戦い方をするんだろう。
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