第88話 近接戦闘で勝負しよう

「まさかこのような技を持っているとは......だが我に当てるのは不可能だがな」

 ローズは跳ね返した魔法で破壊された建物を見ながら呟く。

「マコトさん、もしかしたらローズは気配察知能力が高いのかもしれません。こうなったら近接戦闘がいいと思います。ほらブロンと戦った時に見せたあの技を使ってください......ってなんでそんなに嫌そうな顔しているんですか!?」

 カーミラは私に身の毛もよだつような恐ろしい提案をしてきた。

 なんで女相手にイチャイチャする技を使わないといけないの? 絶対に嫌なんだけど。普通に近接戦闘するなら剣もってるからこれ使うし。

 私は腰につけている剣を抜こうと柄に手をかける。

「さあ、剣を抜いたら我は攻撃を開始する」

 ローズはまたもやこっちが準備するのを待っててくれたようだ。

 すぐに私は剣を抜き構える。

「こっちは準備はできたよ! 今から攻撃するね」

 私はローズに告げた......って何これ? 何で私は魔王の手下に合図送ってるの? 何か魔王の手下って言ったら卑劣で残虐なのだと思ってたからイメージと違う相手でこっちまで調子狂っちゃうな......

「あの、マコトさん」

 カーミラが私の服を引っ張りながら尋ねる。

「どうしたの?」

「あのローズって敵は空中に浮いているんですけどどうやって攻撃するつもりですか?」

 うん。どうやって攻撃すればいいんだろうね? 空に浮ける魔法とかを探してみよう。今までの感じからして空に浮ける魔法くらいあるでしょ。とりあえずステータス画面を表示して......

「さあ、我は今から攻撃するぞ」

 ローズはなぜか地面に降りて来て攻撃の構えをしていた。

「親切すぎるでしょ!」

 私はそう突っ込みを入れずにはいられなかった。

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