第87話 今度こそ戦闘開始
「分っているよ。チカちゃんが魔王軍の一味ってことでしょ?」
私は冷静にカーミラに答える。
「だったらマコトさんもしかしたらチカちゃんと......」
「うん。分ってる」
私はカーミラがその先に何を言おうとしているのか理解して言葉を止めた。そう......カーミラは「チカちゃんと戦うことになるかもしれない」と言おうとしていたのだろう。私なりに気遣って話をそらしたつもりだったんだよ。
「よし! それじゃあ大義名分もあるということであのクソガキを倒してあげるわ!」
アヤナは指を鳴らしながらチカちゃんに近づいていく。
「ちょっと......何でこんな時だけやる気満々なの? ほら、こう言う場面って『もしかしたら敵に操られているかもしれない! 何とかしてチカちゃんを救わないと!』とかそんな感じになるんじゃないの? 普通」
私はとりあえず何かをやらかす前にアヤナの腕を掴んで止めた。
まあ、アヤナの戦闘能力じゃチカちゃんのところまでたどり着く前にローズにやられそうな気もするけど。
「マコトさん! 放してください! 腕を掴まないでください!」
「まあ、とりあえず落ち着いてよ。腕を放したらそのまま突撃してやられちゃうでしょ?」
「そんなことしませんよ! ただ私は腕じゃなくて手を握って欲しいだけなんです! その方が恋人っぽいじゃないですか!」
名言風にアヤナは叫んだ。
全く名言じゃないけど。それにしてもアヤナはいつでもどこでもぶれないな......
「あの......名乗り終わったからそろそろ攻撃したいのだが準備はできているか?」
またもやローズは待っててくれたようだ。しかもわざわざ今から攻撃することを教えてくれている。
「ああ、いいよ」
私はローズの問いかけに答える。
「分った。ダークサンダーキャノン!」
黒い稲妻がものすごいスピードで私のほうに向かってくる。
これは避けられないな......
『固有魔法[オートマジックカウンター]を発動します』
システム音のような声が聞こえると私の周りにバリアが貼られ、黒い稲妻はローズに跳ね返る。
が、今回は跳ね返るのを予見したかのようにローズは反射した稲妻を避けた。
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