第85話 女の魔王軍幹部

 確かに魔王軍幹部は男だけとは聞いていないけどイケメンに会えるのをひそかに期待してたんだよ。

「まさか我が姿を見せることになるとは......ならば我が直々に相手をしてやろう」

 魔王軍幹部は少しだけ驚きの表情を見せた後に見下すようにこちらを睨んできた。

 向こうもやる気満々ということね。でも私だって負ける気はないからね。

 気持ちで負けじと私も同じようにその魔王軍幹部を睨み返した。

「ま、まさか!? マコトさん!」

「どうしたの、アヤナ?」

「もしかして......あの女みたいなのがタイプなんですか!?」

 まったくこの子は......状況を考えて発言をしてもらいたいものだ。そもそも女が恋愛対象になるわけないというのに。

「そ、そうなんですか!?」

 なぜかカーミラもアヤナと同じように私に聞いてきた。

「カーミラ......?」

「あ、いえ! 深い意味はないんですけど......そう! 仲間の好みを知っておいた方がいいかと思いまして!」

「......今のこの状況で聞く必要があるとは思えないんだけど」

「えっとその......」

 カーミラは顔を赤くして顔をそらしてしまった。

「あの......魔王軍幹部を目の前にしてイチャイチャするのはやめないか? 貴様らまだ我の名すら聞いてないだろう?」

 まさかの魔王軍幹部のほうから突っ込みを入れてきた。

 というかあの魔王軍幹部私たちが話し終わるのを待っててくれたのだろうか?

「まずは名乗ろう、我が名は......」

「ロックオンギガホーリーアロー!」

 魔王軍幹部が名乗る前に私は巨大な光の矢を投げつけた。魔王軍幹部は同等の威力の魔力弾をぶつけて相殺した。

「オイ! ここは重要なシーンだろう? 強敵が名乗りを挙げているのだぞ!」

「いや、別に興味ないから......」

 だって女だし......ここはさっさと倒してチカちゃんと帰る。お決まりの名乗りシーンとかどうでもいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る