第84話 意外と役に立つエルフの子

「さあどんどん行くのじゃ! ギガファイアーボール! ギガファイアーボール! ギガファイアーボール!!」

 連続でミリムは魔法を使い続ける。

「ふははは! どうじゃ! わしの強さを理解したかの? さあまだまだやるのじゃ! ギガファイアーボール!」

 ボシュ......

 ミリムの左手から煙が出ただけで火球が出なかった。

「ありゃ?」

「ありゃじゃないでしょ! 魔力切れよこの馬鹿ミリム!! サンダーボール!」

 シオンはすかさず突っ込みを入れた。

 それじゃ私もそろそろ魔法を使わないと......この前使った魔法は便利だったな。えっと......

「全敵ロックオンホリーアロー」

 かなりの数の光の矢がその場に現れすべての魔物を打ち抜いた。

 ......違う、それだけじゃない。私には1本だけ敵のいない方向に飛んで行ったように見えた。そしてその矢は弾かれたように消滅したのだ。

「え、え、え、えぇえええ!! なんなのこの人!? エルフでもこんな魔法使える人見たことないわよ!」

 私の魔法を見てシオンが悔しそうにしていた。

「わ、わしの苦労は一体何じゃったんじゃ......せっかくかなりの数を倒したのに......」

 一方ミリムのほうは落ち込んでいた。

「マコトさん......チカちゃんいませんね」

 カーミラはきょろきょろしながらその場を見渡していた。

「そうだね。見えるところにはいないみたいだね......」

「それはどういう.......?」

 私の言葉にカーミラが首をかしげていたので私は空中を指差した。

「さっきあそこに打った魔法が弾かれた。つまりあそこに敵はいる! ロックオンギガホーリーアロー!」

 巨大な光の矢を作り投げつけるとバリアのようなものが消滅したように見えた。その後時空が歪んだようになったかと思うとその場所にチカちゃんとローブを纏った者の姿が現れる。

 チカちゃんは眠らせられているのか目を閉じてぐったりしていた。

「まさか人間にこの結界が破られるとは思わなかった......」

 ローブの者がそう呟いた後に自身のローブを脱ぎ捨てた。

 その姿は......綺麗な顔立ちをしていてすらっとした体で、そして胸のところに膨らみがあった!

「女じゃん......」

 私の期待は裏切られたのだった。

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