第83話 敵の本拠地に行く

「探索魔法......よし! いた! オールテレポート!」

 私は探索魔法でチカちゃんの場所を特定した後に移動魔法を使用した。

 移動した先にはシオンが教えてくれた通りかなりの魔物たちがその場に蠢いていた。

 チカちゃんの姿が見えない......探知はこのあたりなのにどういうことだろう? どっちにしてもまずは目の前の敵だ!

「えぇえええ!! 何これ!?」

 アヤナはその光景を見た瞬間に慌てていた。

 うん。分かってたけどね。戦闘では役に立たなそうだ。私が頑張るしかなさそう.......

「わしの出番じゃな!」

 ミリムが皆の前に立って宣言した。

「無理よ! あんたに何ができるって言うの? あんたが戦うくらいなら私が戦うわよ」

「シオン......お主こそ魔力切れ寸前じゃろ? 今まで隠しておったわしの本当の秘密を教えるのじゃ?」

「え? あんたまさか!? 私たちのエルフの前でさえ実力を隠してたというの?」

「そうじゃ......わしは......わしはの、実は......左利きなんじゃ」

 ミリムは左手を前に突き出した。その様子を見ながら私はシオンに尋ねる。

「シオン......聞いてもいいかな?」

「えっと......何となく聞きたいことは分かるけど何かしら?」

「魔法は利き手で威力が変わるの?」

「変わらないと思うわ......」

 無表情のままシオンは淡々と答えた。

 利き手で威力が変わらないか......ま、そうじゃないかと思ってたけどね!

「行くのじゃ! ギガファイアーボール!」

 ミリムは巨大な火球を魔物たちの中に飛ばした。

 以前にバランさんが使ったのと同じくらいの威力......つまり普通の威力だね。それでもそれなりの火力、10体くらいは倒せただろうか。

「どうじゃ!? わしの本気の魔法じゃ!!」

 ミリムは誇らしげに横たわった魔物を指差していた。それと同時奥の方から新たな魔物たちが近づいてきた。

「......この馬鹿! 油断しすぎよ! サンダーボール!」

 近づいた魔物に対してシオンが雷球を飛ばした。

 今回は急いでいるから私も本気で戦うことにしよう。

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