第78話 復活のM
「ヒール!」
カーミラはシオンの怪我を治癒した。
「とりあえず何があったか教えてよ」
私はシオンに尋ねてみた。
「私がさっきテレポートで移動したのを見たわよね。移動した先がまさかの魔物たちの群れの中心だったのね」
「うんうん。それで?」
「まあこの天才エルフのシオンにとって魔物なんてただの雑魚! さっさと始末して、えっと......チカちゃんだっけ? を助けに行こうと思ったのよ」
この子、自分のことを天才ってしつこく言ってるな......まあここでそれを突っ込んでもしょうがない。続きを聞こう。
「それから?」
「私が天才だから魔物は次々と排除していったわけね。だけど私にはミスがあったの」
「そのミスとは?」
「あまりにも敵の数が多くて魔力切れになってね。ボロボロにされた後何とか隠れて魔力の回復を待ってここまで戻ってきたのよ」
なるほど......魔力の回復を待ってたから遅かったのか。
「マコトさん......そんな場所にチカちゃんがいるなら一刻も早く向かわないと」
カーミラが青ざめた顔で私の服の裾をつかみながら言う。
「なるほど......つまり真打登場と言うことじゃな......」
「ミリムさん.......気がついたのですか?」
「カーミラ、わしを誰だとおもっとるんじゃ? 天才のミリム様じゃぞ? この程度の傷などすぐに治ったのじゃ!」
そう言えばこの子も自称天才だった。何? エルフ族は自称天才ばかりなの?
「助かります。ミリムさん......さてどうやってチカちゃんのところまで行きましょうか? そうだ! シオンさんは全員をテレポートさせられないのですか?」
「馬鹿なこと言わないでよ! 自分以外を移動させるなんてそんなの伝説級の魔法よ! 私どころか世界の誰もできないわよ!」
カーミラの質問にシオンは即刻否定した。
「馬鹿じゃの......全員で行く方法ならわしが知っておるのじゃ」
「は? あんたにできるわけないでしょ?」
ミリムのやれやれと言わんばかりのポーズに少々キレ気味にシオンは言葉を返した。
「足を使うんじゃ!」
「どう使うのよ?」
「馬鹿じゃのシオンは......もちろん歩いていくのじゃ!」
「「「......」」」
私、カーミラ、シオンそろっては可哀想な子を見る目でミリムをみた。
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